第6話 千影と決闘士:前編
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入れてはいけない理論に陥るか陥らないかの瀬戸際の所で、千影は漸く自分の目的の地へと辿り着くに至っていたのであった。
そこは、普通の店では同じような物を探すと高確率でそれ以上の価格になるものが、一つ100円+物品なら10円、食品ならば8円で手に入る聖地。
人それを『100円ショップ』と呼ぶのだった。
「うん、やっぱりここは落ち着くわね」
普通の人でも愛用する者が決して少なくない100円ショップ。故に千影ともなればその意味合いは一入であるのだ。
無理もないだろう。彼女の家は貧乏であるが為に、千影自らが小遣い稼ぎの為にアルバイト(学校から許可申請済み)をしている位であるのだから。
つまり、他の店では中々ありつけない100円+税という低価格で商品を買えるこの場所は、千影にとって理想郷以外の何物でもないという事だ。
ちなみに、普通の店では100円以下で売っている物もあるため、そこは忍者故に臨機応変な千影は問題なくやっているようであった。
とどのつまり、今この姫宮千影は極めて充実した時を過ごしている真っ最中なのであった。これは、忍者としての成長を実感出来る時や姫子といる時間に匹敵するものがあるのだった。
「ああ〜、ごくらく〜☆」
思わず喜びのため息が出てしまう程であった。無論、彼女のその仕草が他の100円ショップの客の目を惹いてしまっていたが、今このリッチな一時の事を思えば些細なものである。
そして、彼女は今日は何かめぼしいものはないかという考えに至っていた。
この100円ショップというもの。ただ安いだけではなく、普通の店では取り扱わないような代物とも出会える可能性を秘めた聖域なのである。
この前に千影が買った小銭ケースなんか非常に魅惑的だと思う所であった。これを使って余った小銭を1円から500円と存在するそれを種類毎にケースの中に収められるというスグレモノであるのだ。
これのお陰で小銭の管理がしやすくなったものだと千影は歓喜していた。
更に整理しておいて貯めた小銭を集めて一気に銀行で通帳を用いて入金し、貯金の一部へと取り込むこの時、その瞬間の甘美な事といったらなかったのである。ちなみに小銭入金の際は一度に100枚まででないと機械が読み取ってくれないので注意しましょう。
そして、そのような素晴らしい出会いがまたないかと店内を練り歩いていた千影であったが、どうやらその至福の時に招かれざる客が乱入したようであった。
「……やれやれ、私に100均もゆっくりさせてくれないというのかしら?」
そう突如として千影は呟くように言うのであった。勿論、この店にいる客にではない。
そして、どうやら自分の事がばれてしまったようだと悟った『その者』は、開き直って口を開くのであった。
「さすがは『紅月の巫女』といった所みたい
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