第6話 千影と決闘士:前編
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のお嬢様であったりしちゃったのである。
無論、それにより楽ばかり出来るかというとそうではなく、財閥令嬢としてのスキルを磨く為にお稽古などをさせられているのが彼女の日常だったりするのだ。
ぶっちゃけた話、姫子はそのお稽古が余り好きではなかったのである。胸を張って得意と言えるのは射撃くらいな彼女は、どうもそれ以外の事に馴染める程の適応力というものに恵まれてはいないようだからだ。
しかし、それでも幸いにも『嫌い』というレベルにまでは達してはいないようであった。
と言うのも、そのお稽古を教える姫子の専属のメイド長である『如月アリア(日本人とイタリア人のハーフ)』の人柄に尽きるのであった。
それは、厳しくも優しいという、人にものを教える上で理想的な人格を持っていたからだ。そう、大神和希と同じタイプの人であるのだ。
そもそも、姫子が和希の下で進んで戦う事を選んだ一因に、彼がアリアのような性格をしていたから好感が持てたという事が背景にあるのだから。
故に、姫子は今までそのお稽古事をさぼる事なく真面目にこなす事が出来てきたという訳であるのだった。なので、今日も彼女は進んでその行事へと打ち込む為に千影と解散したという事なのだ。
ともあれ、自分の責務の為に暫し姫子と分かれた千影は、これから一人での行動時間となるのだ。
「さて……これからどうしたものかな?」
そう独りごちる千影。それだけでその憂いを含んだ姿に周りの生徒は釘付けになってしまっていた。全くを以て自分のこの過剰なカリスマ性はどうにかならないものかと一人心の中で頭を抱えてしまうのだった。
しかし、そんなギャラリーもそれぞれに自分の生活がある為に徐々に去っていき、それにより千影は漸く一人の時間というものが出来そうになるのであった。
そう思い至ると、千影はふうと一息置く。
確かに、姫子は最高のパートナーにして愛しの人である(同性にも関わらず)。
しかし、思い人であっても、いや、そういう人だからこそずっと一緒ではなく、自由な時間というものが必要だと千影は思っていたのであった。例えるなら、ケーキが好物でもいつも食べていてはその喜びが削り取られていってしまうのと同じ、と言っておけばいいだろうか。
そう言った感情は普通の人にもある事もあるだろう。そして、千影の場合は忍者という単独行動を得意とする役職上、一人の時が落ち着くという感性が人一倍あるようだ。
そういう訳で、千影は一人のこの時間を大切にすべく行動を開始するのであった。
そして、彼女はその艶やかな紺色の長髪を翻しながら歩を刻み始める。それだけで無駄に魅了のオーラを出してしまうのだから、いい加減自分の『歩くカルト』というべき構成要素には嫌気が指す所である。
『これって絶対忍者には足枷でしかない魅力よね』という踏み
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