第6話 千影と決闘士:前編
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れる者は誰ですか?」
そう、彼女は第二派を送り込むべく、次の担い手が名乗り出る事を望んでいるのであった。
これは強制ではなかった。彼女は元来決して力による支配を望むような人ではなかったからだ。
だが、彼女は確信していた。この場に集まっている者は皆深い事情を抱えている者だからである。そういう者達を彼女は集めたのだから。
そして、どうやら事はミヤコの思う通りに進むようであった。
「今度はあたいが行くよ」
そう一人称としては少々珍しいものに乗せながら名乗りを挙げたのは、着物姿の『猫耳』少女であった。
やはり、その耳に接合部らしき物は垣間見る事は出来ない。
そして、立ち上がった彼女には更に尻尾と思しきものまで備え付けられていたのであった。加えて、それと同じ位に目を引く要素もあった。
彼女が立ち上がった事で、身に纏っているその着物の丈がスカートのように短くなっているというものであった。つまり、着物でありながら脚線美が見えるという妖艶な出で立ちなのであった。
だが悲しいかな。この場にいるのは一人を除き皆女性なのだ。しかも、肝心のその男性も軟派な印象など皆無の生真面目そうな人物であるのだ。
それがもたらした結果は、ミニスカ着物というその手の者には非常に美味しいシチュエーションでありながら、誰もそれに興味を示す事がないという惨状なのであった。
その事に世の理不尽さを感じつつも、その猫少女は次に自分が出るという事に意欲を示しているのであった。そんな彼女に満足しつつ、ミヤコは彼女に言葉を投げ掛ける。
「それでは頼みましたよ。大邪三の首『たま』……」
◇ ◇ ◇
「千影ちゃんってば!」
そう強く呼び止められた事により、おぼろげだった千影の意識は現実に引き戻される事となった。
その声の主は、彼女の掛け替えのないパートナーである姫子その人であった。
そのように自分に対して気を遣ってくれた姫子に対して、千影はお礼の言葉を述べる。
「ありがとう姫子。ちょっと考え事をしていたみたい」
言って千影は姫子に対して微笑んで見せるのであった。その仕草だけで見る者を魅了してしまう程のポテンシャルは彼女にはあったのだ。
そんな千影の演出する効果に安堵しつつも、姫子は尚も千影の事に気を遣っていた。
「千影ちゃん、そういう事たまにあるけど、何かあったら一人で抱え込まないでね? 私に出来る事なら力になるからね♪」
そう言って姫子ははにかんで見せる。千影に包み込むような妖艶さがあるなら、姫子には見る者を安心させる人懐っこさがあり、それが彼女の武器でもあるのであった。
そんな姫子の振る舞いに心安らぐ気持ちを抱きながら、千影は言葉を返す。
「ありがとう、姫子。お陰で少し元気が出たわ」
千影はそのように言葉を選んでおい
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