第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第26話 沙の中の銀河:後編
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事は……」
そう魔理沙が言い、それに勇美が続く。
「引き分けって事ですね!」
「そうだな!」
二人はそのように言い合い、結論が出たのだった。
引き分け。それは『互いに負けなかった』というよりも『互いに勝てなかった』という気持ちが勝るケースが多いものである。
だが、今の勇美と魔理沙にはそのような心持ちは余りなかった。互いに奮闘し合って倒れたのだから心残りはなかったのだった。
◇ ◇ ◇
それから後日、この日も勇美は依姫と共に紅魔館の図書館に通っている所であった。
「う〜ん、やっぱり読書しながらのコーヒーは格別ですね。小悪魔さん、私のわがままを聞いてくれてありがとうございます」
「いえいえ、気に入ってもらえてこちらこそ。それに勇美さんはパチュリー様のご友人ですから」
勇美に呼び掛けられた図書館の司書である小悪魔はにこりと微笑んだ。
勇美が言った事が示すように、紅魔館では客人に出す飲み物は基本、紅茶なのである。
それを小悪魔は勇美がコーヒーを飲みながら本を読みたいという要望を律儀に聞いてくれたという訳である。
「お邪魔するぜ〜」
そこへ今までその場にいなかった者の声が走り、勇美は驚いてしまった。
勇美が驚いた理由は、その声が初めて聞くものだったからではない。寧ろ、今では彼女にもとても馴染みのあるものである。
「あ、魔理沙さんこんにちは」
取り敢えず挨拶は大切なので、勇美は魔理沙に声を掛けるが、腑に落ちない彼女は続いて質問をした。
「魔理沙さん、今日は図書館に突っ込んで来なかったんですね」
「おいおい、まるで私がいつもそんな事してるみたいじゃないか?」
「現にその通りじゃないですか?」
「ぐっ……」
勇美に事実を突き付けられて魔理沙は言葉を詰まらせてしまった。
「……まあそう言うな。折角私が本を返しに来たんだからな」
「え゛っ……」
それを聞いてますます勇美は驚愕してしまった。
「そんな、魔理沙さんが本を返しに来るなんて……」
「失敬な。私だって約束は守るぜ。あの勝負を始める時決まってたじゃないか?」
あの時の勝負の話を持ち出されて勇美は一瞬合点がいきそうになるも、再び腑に落ちなくなってしまった。
「あの勝負は引き分けだったじゃないですか?」
「いや、私が勝てなかったんだから、私は約束を守るべきだろ?」
「あ、成る程」
魔理沙にそう結論付けられて、勇美はようやく合点がいった。
「それなら納得いきますね。でも、勝負を提案した依姫さんはどう思っているんですか?」
勇美に話を振られて、依姫は少し思案するも、すぐに答えを出した。
「それは私が口を出す事ではないわ。こうなったら、もはや当人の問題よ」
「成る程、そういう考え方ですか」
「やっぱりお前は話が分かって
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