第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第26話 沙の中の銀河:後編
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尚も続いていた勇美と魔理沙の勝負。それは魔理沙の新しいスペルカードの猛攻により勇美が追い込まれる形となっていた。
そこへ魔理沙が降参を薦めた所、勇美の様子に変化が見られたのだった。
「ん? どうした?」
それに対して魔理沙は首を傾げる。
「降参ですってっ!?」
「!!」
突如今までとは違った気迫を繰り出す勇美。これにはさすがの魔理沙も一瞬だがたじろいでしまった。
「おいおい、どうした?」
「降参ですって? 冗談じゃありませんよ!」
その言葉を勇美は受け入れる寛容さはなかったのだった。──それが勇美が自分に課した復讐だったからだ。
潔く諦める事も生きていく上で必要である。だがそれと妥協は違う、そう勇美は自分に言い聞かせているのだ。
そして勇美は地面に倒れていた自らの肉体を持ち起こし、再び大地をその脚で踏みしめた。
「依姫さんは天宇受売命の力でのらりくらりと攻撃をかわしていたけど、やっぱり私はそう上手くいかないんだね」
と、起き上がった勇美はそう呟く。それは魔理沙に語るというよりも、自分に言い聞かせる形であった。
その様子を見ていた魔理沙は口角を吊り上げてにんまりと笑みを浮かべた。
「何だかわかんないけど、取り敢えず降参する気はないんだな?」
「当然ですよ、途中で投げ出すなんて『復讐者』としての私の名が廃るってものですよ!」
と、熱い台詞の応酬をする二人であったが、側からみていた依姫の視線は少し冷やかであった。
「勇美、貴方のそんな通り名、初めて聞いたわよ……」
「うっ、細かい事は気にしないで下さい……」
依姫に手痛い指摘をされて、勇美は頬を指で掻きながら苦笑いした。
そこへ魔理沙が再び入り込む。
「まあ何だ、私はお前のそのガッツ、気に入ったぜ!」
「魔理沙さん程の人にそう言って貰えると光栄ですね」
親指を上に立てて相手の健闘を称える魔理沙に、勇美も満更ではない気分となった。
「そんじゃそんなお前に対して、次で最後にしてやるぜ!」
「はい!」
魔理沙はこれから勝負に出る事を勇美に告げた。これが彼女流の強敵への敬意の示し方なのだった。
そして、魔理沙は今一度箒に跨がり上空へ飛び上がった。──彼女自身が実力を最大限に出せる得意なフィールドへと向かったのだ。
「空から攻めて来る訳ですね!」
それならと、勇美は『ダンシングシューズ』の力を脚から解放した。
この力はグランドバスタースパークをかわす上で大いに役に立っていた。しかし、次の魔理沙の攻撃に対しては余り役に立たないと勇美は目に見えない何かから感じ取ったのである。
「そっちもやる気だな? じゃあ行くぜ!」
言って魔理沙は再びミニ八卦炉を掲げ、照準を勇美に向けた。
そして、渾身の一撃を込めるスペルの名を口にする。
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