第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第24話 沙の中の銀河:前編
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前との勝負じゃないだろうな?」
対して魔理沙は彼女らしくもない逃げ腰の発言をした。努力する分霊夢以上の実力を持つ依姫と自分が戦うのでは分が悪いと認める辺り、今の魔理沙は冷静であると言えよう。
だが、その予想に反する事を依姫は言い始めた。
「安心しなさい、勝負方法は貴方と私の戦いではないわ」
依姫としては本音としてはその勝負を一番したい所なのである。
それは、魔理沙がかつて月で自分と戦った事で心が折れていないか確かめたいが故であった。
だが、それは避けておくべきだと彼女は思うのだ。魔理沙に余り高い壁に何度も鉢合わせてはいけないのである。
それは、努力とは自分自身が目標を定めてそれに向かっていくものだと依姫自身心得ている為である。
「何にしても魔理沙さん、頑張って下さいね」
そこで勇美はそう他人事のように言った。
「ちっ……人事のように……」
それに対して舌打ちする魔理沙。
だが、話の方向性はこの二人の思わぬ方向へと向かうのだった。
「勇美、勘違いしては困るわね」
「へっ? と言いますと?」
依姫に話題を自分に振られて、勇美は思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
「勝負の方法は、勇美とのスペルカード戦に勝つ事よ」
「ええっ!?」
勇美に出された助け船は、かなりの泥船だったようだ。そう思いながらもこういう展開にどこか慣れて来ているような自分が憎かったのだった。
◇ ◇ ◇
勇美、依姫、魔理沙、パチュリーの四人は紅魔館の図書館から広々とした庭へと繰り出していた。
それは依姫が魔理沙の戦闘スタイルを考慮しての事であった。映像で月での彼女の戦いっぷりを見ていた勇美は適切な判断だと思った。
「いい配慮してくれるわね」
依姫の配慮に対してパチュリーは労う。このまま図書館でドンパチやられて大切な本に危害が加えられては堪ったものではないからだ。
こういう所が依姫の気が回る所だとただただ感心するのであった。
「向こうも私らに気を利かせてくれたみたいだし、いっちょ盛大にやろうじゃないか!」
魔理沙は勝負の相手が依姫でなく勇美だと決まってから意気揚々と乗り気になっていた。勝てる見込みの薄い相手から、最近幻想郷で注目されてはいてもまだまだルーキーの相手になったのだからであろう。
魔理沙は男勝りであり豪快な振る舞いをしているが、苦手なものは苦手であるため、こういった現金な部分も時折垣間見せるのだった。
「うう〜、私がまだ未熟だからって油断してると足下掬われますよ!」
「おう、掬ってもらおうじゃないか!」
負けじと勇美は返すが、現状魔理沙の方が一枚上手なようである。
「それじゃあ行くぜ!」
そう言って魔理沙は、自力では飛べない彼女が空を飛ぶ為の手段である自前の箒に跨がり、それに魔力を
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