第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第24話 沙の中の銀河:前編
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合っている人間だと知っているからだ。──尤も、魔理沙本人は努力している事を悟られるのを嫌う為、その事を勇美は指摘するつもりはなかったが。
つまり、努力型の人間なのに本を手に入れる為には努力しないという矛盾が勇美は引っ掛かるのだった。根は真面目な彼女であるから、そういう所に変に理屈を求めがちになるのである。
だが、本を取るなというのは勇美の正論だろう。しかし、尚も魔理沙はしれっと返答する。
「だから、一生借りていくだけだぜ」
「それが取るって事ですよ……う〜」
態度を崩さない魔理沙に勇美は項垂れる。こういう図太いタイプの人間に打ち勝つには理屈っぽい勇美では少々分が悪いというものだろう。
そう思った依姫はここで勇美に助け船を出す事にした。
「いつぞや私と戦った黒白さん。この子の言う通りよ」
「げっ、お前は……!」
魔理沙は依姫の存在を認識すると、露骨に嫌そうな顔をした。
無理もないだろう。かつて月で彼女を圧倒した相手と再び出会ったのだから。
あの勝負では依姫は魔理沙に心残りが出ないように密かに配慮して戦った為に、魔理沙の足を今引っ張っているものは幸い存在しない。
だが、幻想郷でも上位の実力を持つ魔理沙を巧みに制した相手を目の前にしては、さすがの魔理沙とて穏やかな心持ちはしないというものだろう。
依姫とてその事は薄々察しているだろう。だから敢えて影響力のある自分がこの場で名乗り出たのも意図しての事であった。そして、彼女は続ける。
「これから私と、ある勝負をする気はない? この勝負に勝ったら貴方は本を持っていっていいわ」
「ちょっ!? 何勝手に話を進めているのよ!?」
当然図書館の本の扱いを他人に決められたパチュリーは上擦った声を出して抗議する。
(まあ見てなさいって)
だが依姫は至って落ち着いて小声でパチュリーに諭すように言う。
(何だか分からないけど、そこまで自信満々に言うなら信じるわ)
威風堂々とした依姫の態度に、パチュリーも折れる事にした。
そして、依姫は続ける。
「ただし、勝負に貴方が負けたなら、本を持っていく事は諦めなさい」
それからと依姫は続ける。
「今図書館から持ち出している本も返却する事、分かったかしら?」
「ああ……」
さすがの魔理沙も、依姫の貫禄にたじろぎながら何とか声を絞り出すしか出来なかったようだ。
「あなた、いいアイデア出してくれるじゃない。その心意気、気に入ったわ」
ここでパチュリーは乗り気の意を示した。今現在魔理沙が持ち出している本が帰ってくる。この展開はパチュリーにとっても美味しいものとなってきたからだ。
「それで、その勝負の内容って何よ?」
そしてこの流れに意欲的になったパチュリーは食い入るように勝負方法を依姫に確認する。
「まさか、お
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