第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第24話 沙の中の銀河:前編
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れたのだ。
彼女にも心当たりがあった。以前依姫の月での戦いの記録を永琳に見せてもらった時にその中に傍若無人な戦い方をする者がいたのだ。
それ以前に勇美とて幻想郷に住む身。『その存在』の武勇伝は意識しなくても耳に入っていて、直接遭わずとも情報だけは知っていたのである。
そう、その正体の名前を勇美は言おうとするが……。
「また来たぜ、パチュリー!」
「全く、毎度毎度騒々しいわね、魔理沙……」
その主が現れた為にパチュリーに先に言われてしまったのだった。
その者の名前は霧雨魔理沙。黒白の三角帽子とエプロンドレスに身を包み、魔法を使うが人間である為、自他共に認める『普通の魔法使い』である。
だが普通でないのが、まずそのスタイルであろう。
『弾幕はパワー』という持論をモットーとしており、彼女が張る弾幕は非常にパワフルで派手なものなのだ。
そして、もう一つ普通でないのが彼女のその性格だろう。
少女でありながら『だぜ』口調の男勝りで豪快な振る舞いに加え、その思考回路も常人のものとはかけ離れていて、いつも珍騒動を起こすのだ。──今回の図書館襲撃もその一環で、彼女のライフワークと言っても過言ではないだろう。
更に、図書館に突撃するだけが彼女のするはた迷惑な行為ではないのだ。
「パチュリー、今日も本を借りていくぜ〜!」
「いや、取っていくの間違いでしょ……」
「何を人聞きの悪い事を言うんだ。一生借りて行くだけだぜ」
「それを取るっていうのよ」
パチュリーは呆れながら魔理沙に突っ込みを入れた。
「……」
初めて見る珍客の問答を見ながら、勇美は呆気にとられていた。
──それは屁理屈というものじゃないかと。例えるなら外の世界の青い狸のような猫が主人公の漫画に登場するガキ大将のようが掲げるようなトンデモ理論ではないかと勇美は思わずにはいられなかったのだ。
そして、その思いを勇美は口にする。
「あの、魔理沙さん……?」
「あ、そういうお前は勇美だな? 噂に聞いているぜ」
「あ、はい!」
話しかけた魔理沙に思わぬ言葉を掛けられて勇美は戸惑ってしまった。彼女程の者から評価をされるとは思っていなかったからだ。
だが、それはそれと気持ちを切り替えて勇美は話を続けた。
「そ、そうじゃなくて、本を取って行くのは良くないと思いますよ」
それが勇美が言いたい事であった。自分の欲しい物は奪うのではなく、自分の努力で手に入れるものだと。子供達の前で奮闘した事により慧音に賃金を貰って久しい今であるからこそ実感する事であった。
勇美はこうして食い下がる事は珍しかった。悪い事だと思っても『触らぬ神に祟りなし』を決め込んで余り関わらないようにする傾向がややあるのだ。
だが、今回は違った。それは魔理沙が努力により周りと渡り
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