第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第24話 沙の中の銀河:前編
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う。
そして、パチュリーのその言葉に依姫が返す。
「私も貴方のような勉強熱心な子を友達に持てて嬉しいわ」
そう言う依姫。図書館の中なので静かに話しをした為にしんみりとしてしまう。幸い公共の図書館ではない為、完全に会話が厳禁ではないようである。そして依姫は続ける。
「でもごめんなさいね。月の守護の為とはいえ、貴方のご友人に貴方の予想通りのような、ちょっと痛い目を見せてしまって」
少し申し訳なさそうに言う依姫。自分のした事に後悔はないが、いざ自分が制した者の友人を目の前にすると引け目を感じず完全に堂々とする事も出来ないのであった。
だが、パチュリーはしれっと答える。
「いいのよ、あの子にはいい薬になったのだから」
「あら、お厳しいのね」
「……あなたには言われたくはないわよ」
と、そんな具合に依姫とパチュリーは静寂の中で静かな軽口の叩き合いを繰り広げた。 そこに第三者である勇美が入り込んで来る。
「お二人さん、何か仲がいいみたいですね〜♪」
「「確かに……」」
勇美の指摘を受け止める依姫とパチュリー。どことなく共通するものが自分達には存在していたのだろうなと彼女達は物思いに耽るだった。
「この人は図書館の本を取って行くなんて事しないで、ちゃんと図書館内で読んでくれるし」
「って、それ当たり前じゃないですか……?」
そんな突っ込みを入れる中で勇美は彼女達とは相まみえない要素を持っていると感じていた。だが、それを苦痛には勇美は感じてはいなかった。人には色々な個性があるのだから、人と同じでなくても恥ずかしがる事はないと思っていたのだ。
そんな事を、外の世界のそれのように時折独り言を言ったり居眠りをしていびきをかいたりして快適な空気が台無しになる事の無い図書館で噛み締める今の勇美は、とても充足感に満たされていたのだった。
だが、そんな心地良い静寂を破る存在が今し方やって来ようとしていた。
突然崖が崩れるでもしたかのような轟音が、図書館に鳴り響いたのだ。はっきりいって迷惑そのもの、心臓に悪い事この上ない現象である。
「う、うわぁっ!!」
当然勇美は驚いてしまう。こんな事態に遭う事など外の世界の図書館ではまず無い事であるし。
「……やれやれね、また来たわね」
「あ、もしかしてこれって」
「察しの通りよ」
対して二人はこの騒動の大元が大体想像出来ているようであった。
「お二人とも、一体何事かご存じなのですか?」
話の蚊帳の外にいる状態となってしまった勇美はそわそわした様子で二人に聞いた。
「勇美、分からないかしら? 貴方も『観て』はいるはずよ。こんな『力任せ』な事をしでかす者と言ったら……」
「……あっ!」
依姫にヒントを与えられる形となった勇美は、それにより頭に電流が走るような感覚に襲わ
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