第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第24話 沙の中の銀河:前編
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「それでは、そなたらに助けてもらったぞ」
そう言って慧音は勇美と依姫を労った。
「いえ、何だか予定と違ってしまって申し訳ありません」
慧音に労われるも、素直に喜べずにそう言う勇美。
それもその筈だろう。依姫の神降ろしの凄さを体感してもらう為に勇美は恐竜型の機械生命体でもって相手するというパフォーマンスだったのだが、その恐竜が最後で永琳の策略により空中爆散するという勇美の予期せぬ事態になった上に、恐竜というモチーフを使ったばかりに子供達の人気を自分が集めてしまう事になってしまったのだから。
だが、慧音はそれでも二人には感謝するのだった。それは子供達が喜んでくれた事に代わりはないし、何より二人が一生懸命に奮闘したのだから。
慧音は結果はどうあれ、努力した者はちゃんと認めるのが自分のスタイルなのであった。
「それでは、今回の授業の賃金は出しておかねばな」
「えっ?」
その慧音の言葉を聞いて、勇美は狐につままれたような心持ちとなってしまった。聞き間違いではないだろうか? そう思う勇美は今一度慧音に再度確認する。
「慧音先生、私の聞き間違いかも知れないので、もう一度お願いします」
そんな勇美に対して、慧音は普段の厳格な印象からは想像出来ないような温和な笑みで持って勇美を見据えて言った。
「言い間違うものか。そなたらに今回の授業分の賃金をあげようと言うのだぞ」
「……」
聞き間違いではなかった。その事が確認出来て、勇美は暫し唖然となって言葉が出ないでいた。
「依姫さん、どうしましょう?」
迷いに捕らわれる勇美は、側にいる依姫に答えを求めるという、やや情けない行為に出てしまった。だが、依姫はそんな勇美に対して丁寧に言葉を掛ける。
「まあ、私には不要な物ね。月と地上では通貨は違うし、第一私はお金には困っていないから」
曲がりなりにも綿月家という名家の生まれであるからねと依姫は付け加えた。
そして、依姫は続ける。
「でも、私には不要でも、貴方には必要な物ではないかしら?」
「私に必要……?」
そう言われて、勇美は考え込んでしまった。果たして自分に本当に必要な物なのかどうかと。
「……」
その勇美の様子を見て、依姫は暫し考え、自分の言い方が些か適切ではなかったと思い直した。
「私の言い方が悪かったわ」
「依姫さん?」
そう言われて勇美はキョトンとしてしまう。
そこに依姫は付け加える。
「これは、貴方が必要だと思って欲する事が大事なのよ」
「欲する事ですか?」
尚もキョトンとした態度を続けてしまう勇美。
「そう、欲する事よ」
依姫は少しニコリと微笑みながら言う。
「貴方はこれから進んで欲しがる事が大事になって来るわ。それが貴方の復讐に繋がっていくという訳よ」
「……」
その
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