第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第23話 勇美と恐竜:後編
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「そんな……」
特別授業の催し物として依姫と戦っていた勇美。彼女の優勢かと思われたが依姫が今まで見せた事のない戦い方により形勢を逆転されてしまう。
呆気に取られてしまっている勇美。それを依姫は叱責する。
「駄目よ、自分が思っていなかった事に遭っても、それを引きずっていては」
さりげない一言のようであった。だが、依姫のそれの場合は相手の心情に気を配り的確に放たれるのだ。かつての月で意気消沈しかけた魔理沙の時のように。
その効果は勇美に対しても同じであった。戦う意欲を折られかけていた彼女であったが、今の依姫の発言により調子を取り戻していったのだ。
「まだ終わってはいませんよ!」
そう勇ましく依姫に勇美は応えた。そして、再びマックスに指令を出す。
「もう一回地面に潜るのよ、ランド・ショニサウルス!」
それに対してマックスは律儀に応え、地面に突っ伏していた身体を再び稼働させると、先程と同じように周りの土を泥のように変質させその身を地中へと沈ませていったのだ。
それを見ていた依姫は、
「どうするつもりかしら? さっきと同じではまた弾かれるのがオチよ」
と、余裕を見せて言った。
「ご安心下さい。同じ手は使いませんから♪」
対する勇美も弾むような口調で生き生きと答えた。
そして勇美はランド・ショニサウルスに新たな命令を下す。
「そのまま地中で輪を描くのよ!」
「?」
勇美の言葉を聞いて依姫は首を傾げた。一体勇美は何をするつもりなのだろうと。
だが油断は出来ないだろう。そう思い依姫は身構えた。
「さすが依姫さんですね、隙がありません」
勇美は感心しながらそう言った。だがその後にこう続けた。
「でも、それは地面の上での話ですね」
「? 何が言いた……!?」
言い切る前に依姫は異変に襲われた。違和感は足元からやって来たのだった。
見れば依姫の周辺の地面が、チョコフォンデュに使うチョコレートのようにドロドロに溶け始めていたのだ。しかも……。
「これは、渦……?」
そう依姫が呟いた通りであった。地面がドロドロに溶けると同時に、渦巻きを起こしていたのである。
「では行きますよ! 【土渦「グランドストローム」】!」
自分の分身を地中で回転させながら、勇美はスペルカード宣言をした。
するとみるみるうちに地面のぬかるみは激しくなり、依姫の足元を飲み込んでいった。
だが依姫は至って落ち着いていた。
「……これ以上はやらせないわよ、折角の緋袴ですから」
と、そんな余裕まで見せた。
「依姫さん。って事はその巫女服、気に入ってもらえたんですか?」
勇美は、うるうるとした視線で依姫を見ながら言った。
「違うわよ」
だが依姫はきっぱりと言った。
「ただ、この巫女装束は高価なものだから
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ