第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第23話 勇美と恐竜:後編
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と打ち出される剣は空中へと飛び、重力に引きずられる形で地面目掛けて降り注いだのだ。──勿論その先には依姫がいる訳である。
「来たわね」
だが依姫は臆する事なく手持ちの刀をその刃の群れに向け、見事にそれを弾き始めたのだ。
ぶつかり合う刃と刃、鳴り響く金属音。この特殊な殺陣は互角に進んでいくかと思われた。
「くぅ……」
だが、依姫の方が押されていったのだ。生身で刀を振るう方と機械の身体から放つ方とでの差が生まれたようだ。
それを勇美は実感していき、そして言った。
「どんなもんですか!」
自分が依姫を追い詰めている事を実感しながら、勇美は気分が高揚するのだ──この自分がここまでやれるのかと。
依姫を窮地に追い込んでいるかのよう……。だが当の依姫本人には既に先程の焦りの様子は全く見られなくなっていたのだ。
「見事な攻撃ね、隙が見られないわ……でも」
含みのある言い方を始める依姫。
「『私を倒すには程遠いんだよねぇ〜』なんて言うんですか?」
「言うか! どこぞのファンサービスの人よそれ」
と、そんなコントじみたやり取りを依姫とする勇美であったが、彼女には一抹の不安が生まれていた。
「忘れていないかしら? 私が今まで降ろした神の事を?」
そして勇美の不安は現実のものとなる。
「【金符「解体鋼処」】!」
「やっぱり!」
勇美は予想通りの展開に驚愕した。これこそ二度に渡り咲夜のナイフの群れを退けた『金山彦命』の、金属を操る力だったのだ。
そして、依姫が刀をブレード・ステゴが放った刃の群れに向けると、瞬く間にそれは砂状に還ってしまったのである。
「あ……」
余りの展開のひっくり返りっぷりに、呆気に取られる勇美。
「勉強熱心な貴方らしくないわよ」
依姫は厳かに、それでいて諭すかのように勇美に言う。
「……」
それを黙って聞く勇美。俯く彼女からはその表情は読み知れない。
(少し苦い薬だったかしら……?)
依姫は心の中でそう内省する。
しかし、自分は間違った事はしていないと思っていた。多少厳しく向き合う事が勇美のプラスになるし、勇美自身その事を望んでいるのだ。──でなければ厳格な振る舞いをする依姫の元で鍛練に励もうとは思わないだろう。
その事実がこれから見られる勇美の様相の裏付けとなっていた。
「やっぱりさすがは依姫さんって所ですね」
そう言って顔を上げた勇美の表情は、実に晴れ渡っていた。
「まだ意気消沈はしていないようね」
その様子を見た依姫も喜ばしく思った。
「でも、これからどうするつもり? 貴方の剣は何度でも金山彦命の力で砂に還すわよ」
依姫は強気で言う。自惚れる気はないが、金山彦命の力は強力なものだと理解しているからだ。
「その点はご安心下さい。もうブレード・ス
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