第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第23話 勇美と恐竜:後編
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!!」
それを聞いて勇美は、はっと目が覚めるような心持ちとなった。──ここで終わらせたくはないと。
折角自分が憧れてやまない依姫との勝負を行っているのだ。いくらこれが依姫の神降ろしを子供達に見せる為のデモンストレーション的な戦いであっても、勇美は勝ちに行きたいと心から願う気持ちになるのだった。
「とんでもねえ、まだまだこれからですよ」
「そのいきよ!」
依姫はやる気を取り戻した勇美を褒めながらも心の中で突っ込んだ──『とんでもねえ』はないだろうと。その流れだと私はゴミを収集してもらおうとした所へマシンガンを浴びせられるのかと。
そんな事に構わず、勇美はまず打ち倒された自分の分身マックスを送還する。そして彼は歯車と金属のパーツに分解されて空気中へと消えた。
「さっきはあんなになるまで頑張ってくれてありがとうね、マッくん」
勇美は自分の為に奮闘してくれたマックスに対して、心から労った。彼がいるからこそ自分は戦えるのだから。
「でも、もう一踏ん張りしてくれると嬉しいな!」
続いて勇美は心機一転して彼に呼び掛けたのだ。
(次に力を貸してもらう神様は……祇園様、お願いします)
そう心の中で勇美は願うと、再び彼女の側に歯車と部品が次々に収束していき、マックスが新たなる姿を形成し始めた。
その姿は……。
「地上の情報から聞いた事があるわ、『ステゴサウルス』ね」
「その通りですよ、名付けて【剣符「ブレード・ステゴ」】です!」
その勇美の返答を聞いて、依姫は『あー、やっちゃった』といったような心持ちとなってしまった。
「どうしました、依姫さん?」
「勇美、念の為に言っておくわ……」
依姫が頭を抱えながらそう言うので、勇美は何事かと思いながら聞いた。
「勇美、『ステゴ』って『剣』って意味よ」
「え゛っ……」
変に濁った声を出して、勇美はしばし固まってしまった。
「あ゛ーーーーーっ! やっちゃったーーーーー!」
勇美は頭から火が出るような感覚に陥った。穴があったら入りたい気分であった。
思えば『ステゴ』は『ソード』に語呂が似ていたなと後悔する勇美であった。
「……依姫さん、このスペル名付け直していいですか?」
僅かな希望に向かって、勇美はわらをも掴む気持ちですがった。
「駄目よ」
「うぅ〜」
だが現実は非情であった。
仕方ないので、勇美は腹を括る事にした。
「『ブレード・ステゴ』! 依姫さんを切り刻んでしまっちゃいなさい!」
もう破れかぶれであった。
「来るのね」
そんなやけっぱちな勇美に対しても、依姫は油断する事なく身構えた。
「いっけえー! ソード・シューティング!」
そう勇美が命ずると、マックスは背中に力を込め、そしてその剣状の刃を射出したのである。
ボコボコ
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