第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第22話 勇美と恐竜:前編
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女は非情に勝負に徹した。
「【縛符「牛頭の牢獄」】!」
そう宣言して、依姫は手持ちの刀を盛大に地面に突き刺したのだ。
するとソニックラプトルの周りに白骨化した動物の肋骨のように無数の刃が生えたのだ。月で霊夢達を拘束した時と同じである。
「止まって! ソニックラプトル!」
勇美に言われ、すかさずソニックラプトルは急静止してその場に踏み止まった。このまま突っ走っていれば神の裁きを受けていた所である。
「すごい、地面から刀が生えた……」
「漫画の技みたい……」
子供達も呆気にとられながら固唾を飲んでいた。彼らが受けていたインパクトは絶大だろう。
(依姫さん、子供達の心を見事に掴みましたね)
嬉しくなる勇美であった。だが、彼女とてそれだけで終わらせる気はなかった。
(でも、私もここで引き下がりはしませんよ!)
そう勇美は闘志を燃え上がらせると、新たなる神に思念を送った。
(『ガイア』様に『ネプチューン』様。お願いします)
勇美が念じると、囚われたソニックラプトルは分解され形を造り替え始めた。
(あっ、変形であってマッくん自体が動いた訳じゃないから裁きは受けずに済んだみたいだね)
ほっと胸を撫で下ろす勇美。祇園様に囚われてのこの行為は謂わば賭けだったので、その賭けに無事に勝ったようで安堵するのだった。
そして、恐竜役のマックスの新しい姿の名前が明らかとなる。
「【地海竜「ランド・ショニサウルス」】!」
その名前を呼ばれたマックスの姿はくちばしの長い海竜の姿となっていた。
そして、勇美は早速生まれ変わった彼に指令を送った。
「ランド・ショニサウルス。地面に潜るのよ!」
「何ですって?」
さすがの依姫とて、その勇美の指令には驚いてしまった。何故なら地面の中に逃げられては祇園様からの天罰をもかわす事が出来るからだ。
そしてズブズブとマックスの周りの土が泥のように溶けて、彼は地中に潜っていったのだ。実際に土が溶けた訳ではないが、彼の周りの土がそうなっていったのだ。
『考えたわね』依姫はそう思いながら、刀を地面から抜き、これ以上継続する意味のなくなった祇園様の力を解除するのであった。
するりと素麺をすするかのように綺麗に刃の群れは地面に吸い込まれてしまった。
そして、依姫は自由の身となった敵に警戒する必要が出たのだ。
つまり、依姫は油断はしていなかった。だが、相手が『地面の中を泳ぐ』という、抜かりなく勉強を怠らない自分ですら中々味わない事態に手をこまねいていたのだ。
依姫の強さを人一倍実感している勇美はこの好機を逃しはしなかった。彼女はランド・ショニサウルスを慎重かつ大胆に地中を『泳がせて』いた。
そして、彼は丁度依姫の足下まで差し迫ったのだ。
「いっけえ! 名付けてサウルスドリル
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