第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第22話 勇美と恐竜:前編
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いい?」
「合点承知!」
対する勇美は万端のようだ。
(それじゃあ、行くとしますか。『韋駄天』様、お願いします)
そう心の中で、自分に力を貸してくれる神に呼び掛ける。ちなみに声に出さないのには訳があった。
すると勇美の傍に金属辺が集まっていき形成される。
「【速符「ソニックラプトル」】!」
そう勇美がスペルした先には小型で身のこなしが得意そうな恐竜……をかたどった機械が形造られていたのだった。
「それでは、依姫さん。手筈通りに行きますよ」
「ええ」
準備が整った勇美は、依姫と言葉を合わせた。
そう、これが勇美と依姫が考案した特別授業の内容であった。勇美が造り出す機械の獣を、依姫の神降ろしで下していき、神の偉大さを身をもって実感してもらおうという寸法だ。
故に勇美が神の力を借りる時に口には出さなかったのだ。神の力を借りて戦う依姫を立てるため、勇美も神の力を借りている事は隠したのだ。
──つまり、勇美がやられ役、もとい悪役を引き受ける事を選んだのだ。それはレミリアとの弾幕ごっこや豊姫との対談を受け、立派に『悪』として生きる者達に触発され、自分もそういった悪を目指していこうと決心した事が火種となっていた。
そして、悪を引き受ける上で勇美は『恐竜』をテーマに選んだのだ。雄々しくて獰猛なイメージの強いそれはいかにも盛大に倒される様が絵になると思っての事だ。
その考えに至った理由は、紅魔館に招待された事が切っ掛けで勇美がそこの図書館によく通うようになり、そこで恐竜に関する文献を読んで魅了されてしまったという訳である。中二病真っ盛りの故の悲劇であった。
と、そのような事があって、今の勇美がここにいる訳である。
「ソニックラプトル! 行っちゃって下さい!」
とうとう勇美は自分の分身となった鋼の古代生物に指令を送った。するとその小型恐竜メカはタンを足踏みを一つしたかと思うと、勢いよく駆け出したのだった。
俊敏に依姫に迫る恐竜。さすがは音速の意を冠するだけの事はあるだろうか?
いくら身体は小さくても、その速度から繰り出される体当たりの威力は相当なものになるだろう。
だが、依姫は慌てなかった。
「単純な攻撃ね」
事もなくそう呟くと、依姫は『声に出して』神に呼び掛けたのだ。
「『祇園様』よ! 女神をも閉じ込める力を我に!」
そう宣言すると、依姫の隣に顕現する筋骨隆々の大男の像。
「うわ、何か浮かび上がった!」
「すげ〜!」
それを見ていた生徒達から感嘆の声が次々に上がった。
(掴みは良好みたいですよ、依姫さん)
そう心の中で依姫を応援する勇美。彼女は依姫が今敵対しているとはいえ、やはり尊敬する師が持て囃されるのは嬉しいのであった。
その事を依姫も受け止めていたかも知れない。だが、彼
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