第三百九十四話 日本にもまだいるかも
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第三百九十四話 日本にもまだいるかも
「大丈夫ですかラトビアさん」
「は、はい。何とか」
噛まれた場所はまだ痛いですがそれでも何とか日本に言葉を返して応えるラトビアでした。
「驚きましたよ。まだ狼がいることに」
「あっ、そういえば日本さんのお家って」
「もう狼いないんですよね」
エストニアもラトビアもこのことを思い出しました。実は日本の家にはもう狼はいなくなったとされているのです。
「いなくなってはじめてわかるんですよね、いつも」
「はい。とても残念なことに」
「その筈なのですが」
しかしここで日本はふと言葉を変えてきました。
「お家で時々おかしなものを見たりします」
「おかしなものっていいますと」
「我が家の狼は少し変わっていました」
日本のお家にいた狼は他の狼とは違う点が多かったのです。草原にいずに森にいましたし人の後ろについて歩いてくる習性もあったのです。これを送り狼といいました。
「獲物を皮ごと丸呑みしていたのですが」
「へえ、そうなんですか」
「皮が入ったうんこを見ることがあります」
日本はこのことを二人に言います。
「奈良の方でですけれど」
「ああ、あの怖いマスコットの」
「そうです。まだ見たっていう噂もあったりしますし」
「いればいいですね」
「そう思いますが。どうなのやら」
少し期待はしていても実際はどうなのかわからない。それがもどかしい日本でありました。狼から思いも寄らぬお話となったのでした。
第三百九十四話 完
2008・10・14
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