第五章
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「それならですね」
「死刑は間違いないですね」
「フランスに残られれば」
「裁判にかけられて」
「そうなる、その彼の弁護人にだ」
まさにそれにというのだ。
「私はなろう」
「ですが閣下は警察に監視されています」
「我々もその監視の目を何とかかいくぐりここに来ています」
「若しネイ殿の弁護人をされますと」
「閣下も」
「友が危機に陥っているのだ」
それならというのだ。
「ならばだ」
「その危機に赴かれ」
「助けられる」
「そうされますか」
「それが人間というものだ」
こう言ってだった、彼はパリに向かった。
その姿を見て誰もが驚いた。
「まさか」
「ネイ将軍の弁護に来たのか」
「そんな筈がない」
「警察は常に彼を見ているぞ」
「何かあれば捕まるぞ」
「そして彼も裁判にかけられかねないぞ」
ネイの様にというのだ。
「そうなってしますぞ」
「それでもいいのか」
「只でさえこれまでの役職を全て解任されているのに」
「それでもか」
「いいというのか」
「正気か、いや」
ここで誰もが思った。
「そうしたことは恐れないか」
「あくまでネイ将軍の為に来たのか」
「旧友の為に」
「友情を何よりも大事にしたか」
「何と見事な男か」
ダヴーへの驚きは彼への賞賛に変わっていた。
「これまで不敗だったが」
「何故不敗かわかった」
「あの心故だな」
「だから彼は不敗だったのだ」
「不屈だからこそ」
「共和制、皇帝への絶対の忠誠心だけではなかった」
「腐敗を嫌い軍律に厳しかった」
それに加えてというのだ。
「友情にも篤い」
「その心があるからだ」
「彼はこれまで負けなかったのだ」
「その心があるからこそ」
軍人の資質に加えてというのだ、彼等は今そのことがはっきりとわかりまるで海が割れる様に彼を通した。
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