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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第34話:青春の華
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くらいの時間はとっても良いんじゃねえの? 響ちゃんに協力してもらってる立場なんだし」
恐らく、弦十郎ならそれくらいは動いてくれるだろう。彼も内心では響は勿論、奏や翼にも戦いからは離れてほしいと思っているからだ。若く未来もある彼女達に、戦いを強要せざるを得ない己を心の何処かで恥じてすらいた。
「ま、今すぐ答えを出さなくてもいいだろ。響ちゃんにも心の準備は必要だろうし、覚悟が決まったらおっちゃんとかに話付けてみな。難しそうだったら俺らも手伝うから」
「そうそう。ほら、今日はもう帰んな」
「颯人さん、奏さん…………はい! ありがとうございます!」
2人の激励に響は元気を取り戻したのか、憂いの無い笑みを浮かべてその場を立ち去って行った。
その響の後姿を颯人は温かい目で見送り、対照的に奏は少し心配そうに見つめていた。
「響の奴、大丈夫かな?」
「仲違いしないかって事? 大丈夫だって、俺らがそこまで気にする事じゃないよ」
「でもさ――――」
どうしても不安が拭えない奏。もし仮に二課やシンフォギアの事を秘密にしたが為に響が親友と仲違いしてしまったら、それは間違いなく戦いに巻き込んでしまった自分の責任だと考えているのだ。
そんな不安を察した颯人は、奏の前で跪くと彼女の手をそっと取り自身の両手で包み込んだ。
「そう心配すんなって。喧嘩で仲違いなんてのは青春の華さ。喧嘩して仲直りした数だけ、互いの絆は固くなる」
そう言い切った直後、颯人が両手をパッと広げるとそこには奏の手に乗る程度の量のアゲラタムの花があった。
更に彼が手を離すと、何時の間にか奏の指に一本の紐が巻き付けられていた。紐の先端は颯人の手の中にあり、彼が手を離しながら一定間隔で紐に何かを結びつけるような動作をするとその度に色々な国の国旗が繋がれていく。
その手品に奏は覚えがあった。
まだ颯人も手品のレパートリーが少なかった子供の頃、奏が気分を落ち込ませたり機嫌を悪くした時によくやってくれた手品がこれだったのだ。
その頃の事を思い出し、懐かしさに笑みを浮かべた。
「青春の華、ねぇ」
「俺達がもう、絶対手に出来ない得難い宝だ。大事にしてもらわないとな」
しみじみ言う颯人に、奏はふと気付いた。
彼がしょっちゅう悪戯を仕掛けて揶揄ってくるのは、もしや失われた青春時代を少しでも取り戻そうとしているのではないか?
もしそうだとするならば――――――
「颯人ってさ……結構馬鹿だよね?」
一見すると何時も通り、先程と同じように罵倒しているようにも聞こえるが、今度の“馬鹿”にはいろいろな意味が込められていた。
そして颯人は、それに気付いていた。2人が子供の頃から繰り広げてきた喧嘩は、両手の指では足
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