第一章
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頭が悪くては
アレックス=ラミレスはヤクルトスワローズに助っ人として来た時極めて明るいキャラクターとして注目された。
だがその明るさと日本のタレントの物真似の面白さとは違って来日当初は打たなかった。それでヤクルトの首脳陣もこれはと思った。
監督である若松勉はキャッチャーでありチームの大黒柱である古田敦也に不安そうに語った。
「ラミレスは大丈夫か」
「打たないからですね」
「そうだ、あの性格はいいけれどな」
明るいそれはというのだ。
「それでもな」
「やっぱり打たへんと」
「そうじゃないと何にもならないからな」
だからだというのだ。
「どうかって思うんだが」
「何でも六月になるとです」
古田は若松にこう答えた。
「打つそうですから」
「そうか?」
「はい、ですから」
「今はまだか」
「あれこそ言わないで」
それでというのだ。
「見ていけばいいかと」
「そうか、言われてみるとな」
若松はここでラミレスのスイングを思い出した、現役時代は守備もよかったがバッティングでも定評があり二千本安打も達成している。打撃コーチでもあったことがあるしバッティングについては彼も観る目がある。
その目からだ、彼は古田に話した。
「別にな」
「悪くないですね」
「スイングはな、だったら」
「それならですね」
「六月まで待ってみるか」
本人の言う通りにというのだ。
「それじゃあ」
「はい、それなら」
「待つな」
こう言ってだ、そしてだった。
若松はここはラミレスの言う通りにした、すると実際にだった。
彼は次第に打ちだしてヤクルト打線の主力の一人となった、そうしてヤクルトの優勝にも貢献した。
その次のシーズンもそれからも安定して打った、このことについてファン達はこんなことを話した。
「ただ明るいだけじゃないな」
「安定して打つな」
「パワーもあるが」
「打率がいいな」
これが一番いいというのだ。
「だからいいんだよな」
「思ったよりも息の長い選手だし」
それでという言葉も出て来た。
「ひょっとしたら二千本安打いけるか?」
「名球会か」
「助っ人でそれにいけるか」
「若しいったらはじめてだな」
「そうなったら本当に凄いぞ」
「いけるか?」
「ひょっとしたら」
野球ファン達はラミレスの安定したバッティングにひょっとしたらと思いだした、助っ人ではじめての名球会到達かと。
そして実際にラミレスは二千本安打を達成した、日本人選手でも滅多に達成出来ないが助っ人という活躍する年齢もシーズンも限られている助っ人でもだ。
ラミレスはそれを達成した、このことにファン達は驚き彼に喝采を贈った。
「凄いことやったな」
「ああ、これまで
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