第三章
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それで木に鉞を入れ。
全員で交代して木を打っていった、皆力が強いので木に入る傷はどんどん深くなっていき瞬く間にだった。
木は倒れた、するとだった。
木の上、枝のところから人の頭が数個転がり落ちた、柴田はその頭達を見るとすぐにだった。
頭達に近寄り手に持っている鉞でその頭を全て叩き割った、そうしてから供の者達に対してこう話した。
「これでじゃ」
「終わりですか」
「全ては」
「そうなのですか」
「この者達がな」
今頭を割った彼等がというのだ。
「わかるであろう」
「そのあやかしですな」
「我等が成敗すべき」
「それですな」
「釣瓶落としですな」
「そうじゃ、それでじゃ」
この度はというのだ。
「これで終わったわ」
「ううむ、頭を割られてです」
「あやかし達はこと切れましたな」
「そうなりましたな」
「流石に頭を割るとな」
如何に妖怪といえどというのだ。
「死んでしまうわ」
「全くですな」
「あやかしといえど頭を割られますと死にますな」
「首だけになっているとはいえ」
「そうしますと」
「このあやかしは木の上から落ちて来るという」
まさに釣瓶の桶の様にだ。
「それならな」
「この者達がいる木を倒す」
「そこにいる場所をですか」
「そうするのですか」
「そうじゃ、それでじゃ」
この度はというのだ。
「先に木を倒したのじゃ」
「左様でしたか」
「確かに木の上におるならです」
「その木を倒せばです」
「手足をもがれたも同じですな」
「左様、それで鉞だけでよいと言ったのじゃ」
柴田は髭だらけの顔を綻ばせた、そのうえで供の者達に話した。
「この度はな」
「そういうことでしたか」
「いや、まずは木を倒す」
「それには鉞ですからな」
「そこからお考えでしたか」
供の者達は柴田のその言葉に納得した、妖怪達は僧を呼び供養をさせて木は神主に祓いをさせて薪にした。全てが終わってからだった。
柴田は岐阜に戻った、そうして信長にことの次第を話すと信長は柴田をねぎらってからこうしたことを話した。
「実はあのあやかしはな」
「何かありますか」
「うむ、実はな」
それはというと。
「ただ驚かす場合だけではないという」
「といいますと」
「うむ、下にいる者を襲ってな」
そうしてとだ、信長は柴田に話した。
「喰らう奴もおるらしい」
「そうでしたか」
「驚かせるだけならまだよいが」
「それが、ですな」
「人を喰らうとなるとな」
「やはり放ってはおけませぬな」
「左様、あのあやかし共が人を喰らうかまではわからなかったが」
彦根にいた釣瓶落としがというのだ。
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