第二章
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「今はね」
「牛乳とか飲んだ方がいいか」
「僕はそう思うよ」
「じゃあ駅のコンビニで牛乳買って飲むか」
「そっちの方がいいよ」
牧水もそれならと応えた、こうした話をしながらだった。
二人は自分達の家がある八条グループの企業に勤めている社員とその家族の為の集合団地のある最寄りの駅まで電車で向かった。そして。
駅から降りると牧水が言った通りに駅のコンビニに入ってだった。
二人共牛乳を飲んだ、それから静香はこんなことを言った。
「じゃあ帰ろうか」
「そうしようね」
「ああ、しかし牧水とは小学校からずっと一緒だったのにな」
「八条学園からね」
「それで住んでいるところも同じだっていうのに」
その集合団地だというのだ。
「一緒に帰る様になったの高校からなんてな」
「だって一緒のクラスになったことないし」
牧水はすぐに答えた。
「それにね」
「ああ、部活だってな」
「僕中学は卓球部だったから」
「部活も違うとな」
「同じ学校でもね」
それでもというのだ。
「一緒にいることないよ」
「そうだよな」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「殆ど話したこともないし」
「一緒にいることもな」
「なかったんだよ」
そうだったというのだ。
「僕は高校陸上部に入ったから」
「それで一緒に帰る様になったな」
「そうだよ、しかしね」
「しかし。何だよ」
「いや、まさかね」
「付き合う様になったことかよ」
「そうなるなんてね」
このことはというのだ。
「思いも寄らなかったよ」
「手つなく位だけれどな、今は」
とはいっても今はつないでいない、電車の中ではそうしていたが。
「それでもな」
「こうなるなんてね」
「あたしもこんな風だからな」
静香は自分のことも言った。
「よく男女とかゴリラ女とか言われるしな」
「ゴリラっていいじゃない」
牧水は静香がそう呼ばれることについては微笑んでこう言った。
「ゴリラは大人しくて賢くてね」
「凄くいい生きものなんだよな」
「外見は怖くても」
よくそう思われるがというのだ。
「あんな優しい生きものいないよ」
「暴力も絶対に振るわなくて」
「そうした生きものだから」
それでというのだ。
「そう呼ばれたらね」
「かえっていいんだよな」
「そうだよ」
こう言うのだった。
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