第30節「鏡に映る、光も闇も何もかも」
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た切歌は、一瞬躊躇ったが……やがて、それを懐に仕舞い、首筋に自分の注射器を当てた。
「調……」
LiNKERを注入し終え、切歌も調の後を追って飛び降りる。
「さて、あとは……一番邪魔くさいのを始末しますかね」
そう言ってウェルは、操縦席……ではなく格納庫の方へと足を運んだ。
「こ、こいつは……!?」
格納庫で見つけてしまったそれは、目を疑う光景だった。
ウェルの野郎がクソ野郎なのは知っていた。
だが……ここまでするかよ、あの野郎ッ!
「神獣鏡のギアコンバーターが見当たらないわけだ……。止めないと──」
「何を、どう止めるんです?」
「ッ!?」
気付いた時にはもう遅く、ツェルトの首筋からはAnti_LiNKERが注入されていた。
足元をふらつかせながら振り返り、忌々しいその名を叫ぶ。
「ウェル……てめぇ……ッ!」
「君のことです。ここに来るだろうとは思っていましたよ……。F資料がなくなっていたことに、この僕が気付かないと思いましたか?」
「くッ……転調、コード“イチイバル”ッ!」
RN式を起動し、銃を向ける。
もしもここでノイズを召喚しようと、RN式なら迎え撃てるからだ。
しかし……。
「ごはッ!? ──なん……だと……ッ!?」
ツェルトは口から血を吐き出し、RN式は強制的に解除された。
「僕特製のAnti_LiNKERです。よく効きますでしょう?」
「適合係数を……引き下げた、のか……ッ!?」
「適性のない聖遺物を、アームドギアのみの運用に絞ることで何とか振るってきた君には、致命的でしょうねぇ! 身の丈に合わないその力が、そのまま君を殺すのですからッ!」
「クソッ……身体が……」
ふらついたツェルトは身体を支えようと、ハッチへともたれかかる。
それを見たウェルは、ニヤリと嗤った。
「僕達を裏切ろうとした罪は大きい……。裏切り者には粛清を、それが組織として正しい在り方でしょう?」
「……ッ! まさか……ッ!?」
「許してくださいよぉ? 悪いのは君なんですからねッ!」
そう言ってウェルが押したのは、ハッチの開閉ボタンだった。
もたれかかっていたツェルトは、手すりに?まる暇もなく……空へと投げ出された。
「さよならです。精々僕の夢が叶う瞬間を、あの世から祝福してくださいよッ!」
「ウェルゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!」
落下していくツェルト。それを追うように、数体のフライトノイズが迫る。
万が一の生存すら許さず、不穏分子は確実に殺そうというウェルの意志。
迫る死を前に、ツェルトはマリアの顔を思い浮かべた。
(すまない、マリィ……。俺は──)
ff
その頃、
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