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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第30節「鏡に映る、光も闇も何もかも」
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がっている。

「…………ッ」

その凄惨な光景に、マリアは血が出る程に唇を噛みしめる。

国や人々を護る為に戦う彼ら兵士に、罪は無いはずなのだ。
今この場に於いて、彼らから見た自分達は「ノイズを操る力を持ったテロ組織」であり、自分達を襲ってくる兵士の全てが権力の犬ではなく、人々を脅かす脅威に立ち向かう気高き者達も含まれているのだ。

それでも、彼らに情けをかけることが許されない。
邪魔する者は全てなぎ倒して進まなければ、ナスターシャが唱えた人類救済の道には届かないのだから……。

そんな思いが、誰より優しいマリアの心を縛り付け、締め付けていく。

「こんなことがマリアの望んでいることなの? 弱い人達を守るために本当に必要なことなの?」

モニターに映し出される地獄絵図を前に、調はマリアに問いかける。

「──ッ」
「……」
「何とか言えよ……答えろよ、マリィッ!」

何も答えないマリア。

彼女の沈黙を受け、調は操縦室を飛び出した。

「──調ッ!?」

飛び出していく調を追いかけ、切歌も操縦室を出る。

「やれやれ、やはり彼女もまだまだお年頃……というわけですか。仕方ありませんね」

そう言って、ウェル博士も後に続く。

(ウェルの目が離れた……今だッ!)

ツェルトは操縦桿を握るマリアを振り返り、そして操縦室から格納庫へと向かって行った。



切歌が追い付くと、調はドアを開けていた。

「何やってるデスかッ!?」
「マリアが苦しんでいるのなら……私が助けてあげるんだッ!」
「──調ッ!」

肩を掴もうとした手を振り払い、調はエアキャリアを飛び降りる。

直後、切歌の耳に届いたのは彼女の聖詠だった。

「──Various(ヴァリアス) shul shagana(シュルシャガナ) tron(トロン)──」

薄紅色の光に包まれ、調はシュルシャガナのシンフォギアを纏い、米国の哨戒艦艇へとスカイダイブしていく。

「調っ!」
「連れ戻したいのなら、いい方法がありますよ」

肩に手を置かれて振り返ると、そこには善からぬ笑みを浮かべたウェル博士が立っていた。

ウェル博士は切歌に、いつもLiNKERを注入するのに使っている無針注射器を手渡す。
そこにはいつもの黄緑色ではなく、赤い薬品が入っていた。

「LiNKER?」
「いいえ、これはAnti_LiNKER。適合係数を引き下げる為に用います。その効果は折り紙つきですよ」

以前、廃病院での試験運用で得たデータを元に更に改良を重ね、主に即効性を高めてきたものがこの液体状の新バージョン。開発コード『ALi_model_K0074_L(リキッド)』である。

注射器を受け取っ
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