第30節「鏡に映る、光も闇も何もかも」
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で行動するつもりだが、協力を仰ぐのに越したことはない。
それがツェルトの判断だった。
『本部では今、F資料の解析が行われている。終了次第、フロンティアへ向かう予定だ』
「そこで合流だな。お前らのお友達と、それから封印解除に必要な神獣鏡。これら2つを手にヘリキャリアから飛び降りる。回収はできるな?」
『いけるよね、叔父さん?』
『アウフヴァッヘン波形を捉え、落下予測ポイントに本部を回す。それでいいな?』
「充分だ。落下は俺が自力で何とかするさ。女の子一人抱えて飛び降りるくらい、余裕でやってのけるとも」
ツェルト不敵に笑い、だが、と付け足す。
「忘れるなよ。俺が信用しているのは、あくまで翔だ。コマンダー、俺はまだあんたを……」
『皆まで言うな。甥っ子の友達がそこまで腹括ってるんだ。必ず応えてみせるさ』
「フン……。そうでなくちゃ困るっての」
周囲を見回し、そしてツェルトは通話を切る。
脱出後の算段は立てた。
次は脱出までの、神獣鏡と未来を奪還する方法だ。
神獣鏡は最悪、奪取できない可能性もある。
だが、人質とされかねない未来だけは必ず連れ出せるようにしたい。
(ドクターの目を盗んで格納庫へ。あの子を連れて格納庫のハッチを開き、海へとダイブ……。これがベストか。問題は、ドクターが目を離してくれるタイミングだが……)
ツェルトは明日の行動を脳内でシミュレートしながら、エアキャリアへと戻って行く。
たとえそれが、愛する人を置いていく事になるとしても。
君を助けに、必ず戻る。
固く誓いながら、欠けた月を見上げた。
そして迎えた翌日早朝。エアキャリアはフロンティアが沈む海域に向け、空を進んでいた。
「マムの具合はどうなのデスか?」
「少し安静にする必要があるわ……。疲労に加えて病状も進行しているみたい」
「そんな……」
「つまり、のんびり構えていられないということですよ! 月が落下する前に、人類は新天地にてひとつに結集しなければならない! その旗振りこそが、僕たちに課せられた使命なのですから!」
壁にもたれながら、すっかりニューリーダー気取りのウェル博士に、ツェルトは誰よりも苦い顔をする。
「生弓矢さえ使えれば、マムの病気を癒すことだって……」
「コンバーターの最終調整がまだ終わっていないですし、何より、使えたところでナスターシャの身体は老いていますからね。活性化できるほどの生命力が残っているかどうか──」
「ドクター」
「──はいはい、分かってますよ。喧嘩するなっていうんでしょう?」
マリアの咎めるような声に、ウェルは肩を竦める。
一方、ツェルトは忌々し気にウェルを睨んでいた。
(おそらく二課もF資料を辿り、フロンティアを
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