第六十一話 大森林の先
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☆ ☆ ☆
新トリスタニア市は、発展途上ながらも多くの店舗が軒を連ねていた。区画の殆どがマクシミリアンの魔法で整備され水道橋まで魔法で作られていた。
とは言え、ヌーベルトリステインの住人のおよそ七割は農業に従事しており、大多数の入植者は郊外の家付きの大農園に散らばり農作業に従事していて、市内に住むものは少なかった。
農場では牛や馬などハルケギニアから運ばれた家畜が育てられ、マクシム川から農業用水を引いて農場に当てていた。
ちなみにマクシム川とは、地球で言うハドソン川に相当する川の名で、マクシミリアンの名から名付けられた。
予想通り、マクシミリアンは嫌がって、ベルギカ号の艦長ド・ローテルに擦り付け……否、その栄光を譲る積りだったが、ド・ローテルは快く断り、晴れてマクシム川と呼ばれるようになった。
誕生会から2週間後、新トリスタニアの政務を家臣に任せ、マクシミリアンは領土拡大の遠征に出発した。
マクシミリアンに同行するのは、アニエス達のコマンド隊の面々と執事のセバスチャンに、入植してきたアルビオン人で編成された民兵が1000人の構成だった。
マクシミリアンら遠征軍は、マクシム川を上流へと上っていき、トリステイン人居住区のあるフォート・ノワール(地球で言えばオールバニの辺り)を目指していた。
「殿下、間もなく予定のフォート・ノワールに到着いたします」
マクシミリアンの乗った馬に自らの馬で横付けして報告をしてきた男は、元アルビオン貴族のジェームズ・ウルグといって、マクシミリアンによって民兵軍の司令官に抜擢された男だ。
彼の人となりは『厳格』の一言に尽き、彼がヌーベルトリステインに来たのか他人に語ろうとしなかった。
スパイの可能性を疑ってトリステイン本国の諜報部に調べさせた所、大寒波前に起こったアルビオンの粛清の際に、上司にその能力を疎まれて事実無根の罪をでっち上げられてしまい、その後に発生した粛清の余波で改易されてしまった。
その後、ウルグは自身の潔白を訴えに、王都ロンディニウムへと出向いたが聞き入れて貰えず門前払いを喰らい、トリステインからヌーベルトリステインと流れてきたのが、これまでのウルグの経歴たっだ。
「ありがとうウルグ将軍。フォート・ノワールまであと三時間、と言った所かな」
「大雑把に計算すれば、その様な所でしょう……それにしても」
ウルグは北西の方向を見た。
その視線の先に雪を被った巨大な山脈の様なものが広がっていた。
「ああ……将軍は『アレ』を見るのは初めてだったな」
「その通りでございます」
「最初、アレを見た
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