第29節「英雄故事」
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ごは浮かんだ お空に りんごは落っこちた 地べたに──」
エアキャリア内、格納庫。
破損したセレナのペンダントを見ながら、マリアはAppleを口ずさむ。
「星が生まれて う──……どうしたの?」
視線を感じて顔を上げると、檻の中から未来がこちらを見つめていた。
「いえ……。……ありがとうございました」
響が落下していった直後、未来の前に現れたのは、ガングニールで天井を突き破って進んできたマリアだった。
「……ッ!」
見つめ合う二人。
またタワーが大きく揺れる。
「ッ! お前……」
上がってきたツェルトが驚いていると、マリアは未来へと手を伸ばした。
「死にたくなければ来いッ!」
「…………──ッ!」
未来は一瞬躊躇ったものの、マリアの手を取る。
マリアは未来とナスターシャ教授を抱えてタワーから脱出する。
ツェルトもそれに続き、タワーを飛び降りた。
直後、タワーの展望デッキは爆発。
響達は気付いていなかったが、落下している間に未来は助け出されていたのである。
「……どうして、私を助けてくれたのですか?」
「さぁ……逆巻く炎にセレナを思い出したからかもね」
「セレナ?」
首を傾げる未来。
そこへ……。
「マリアの死んだ妹ですよ」
「……ドクター」
ウェル博士がやって来た。
「この子を助けたのは私だけれど、ここまで連行する事を指示したのはあなたよ。一体何のために?」
「もちろん、今後の計画遂行の一環ですよ」
そう言ってウェルは、檻の前へとしゃがむ。
「そんなに警戒しないで下さい。少しお話でもしませんか? きっとあなたの力になってあげられますよ……ふふ……」
未来に視線を合わせたウェルは、いかにも人のよさそうな笑みを浮かべた。
「私の……力?」
「そう……。あなたの求めるものを手に入れる力です」
「……あの野郎、今度は何企んでやがる……」
格納庫の扉に耳を当て、ツェルトは苦虫を噛み潰したような顔で呟いた。
(マリアが、フィーネでないのなら、きっとあたしの中に──怖いデスよ……)
洗濯物を干しながら、あの瞬間を思い出す。
誰にも打ち明けられず、アタシの心の中で、恐怖は日に日に膨らんでいった。
「マリア……どうしちゃったんだろう」
「……え?」
隣を振り向くと、調も俯いている。
理由はきっと、昨日のマリアの言葉。
ドクターに賛同する。そう宣言したマリアの言葉を、アタシ達は未だに受け入れられていなかった。
「わたしは、マリアだからお手伝いがしたかった。フィーネだからじゃないよ……」
「う、うん……そうデスとも」
「
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