暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第29節「英雄故事」
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ごは浮かんだ お空に りんごは落っこちた 地べたに──」

エアキャリア内、格納庫。
破損したセレナのペンダントを見ながら、マリアはAppleを口ずさむ。

「星が生まれて う──……どうしたの?」

視線を感じて顔を上げると、檻の中から未来がこちらを見つめていた。

「いえ……。……ありがとうございました」



響が落下していった直後、未来の前に現れたのは、ガングニールで天井を突き破って進んできたマリアだった。

「……ッ!」

見つめ合う二人。
またタワーが大きく揺れる。

「ッ! お前……」

上がってきたツェルトが驚いていると、マリアは未来へと手を伸ばした。

「死にたくなければ来いッ!」
「…………──ッ!」

未来は一瞬躊躇ったものの、マリアの手を取る。

マリアは未来とナスターシャ教授を抱えてタワーから脱出する。
ツェルトもそれに続き、タワーを飛び降りた。

直後、タワーの展望デッキは爆発。
響達は気付いていなかったが、落下している間に未来は助け出されていたのである。



「……どうして、私を助けてくれたのですか?」
「さぁ……逆巻く炎にセレナを思い出したからかもね」
「セレナ?」

首を傾げる未来。

そこへ……。

「マリアの死んだ妹ですよ」
「……ドクター」

ウェル博士(しょあくのこんげん)がやって来た。

「この子を助けたのは私だけれど、ここまで連行する事を指示したのはあなたよ。一体何のために?」
「もちろん、今後の計画遂行の一環ですよ」

そう言ってウェルは、檻の前へとしゃがむ。

「そんなに警戒しないで下さい。少しお話でもしませんか? きっとあなたの力になってあげられますよ……ふふ……」

未来に視線を合わせたウェルは、いかにも人のよさそうな笑みを浮かべた。

「私の……力?」
「そう……。あなたの求めるものを手に入れる力です」

「……あの野郎、今度は何企んでやがる……」

格納庫の扉に耳を当て、ツェルトは苦虫を噛み潰したような顔で呟いた。



(マリアが、フィーネでないのなら、きっとあたしの中に──怖いデスよ……)

洗濯物を干しながら、あの瞬間を思い出す。
誰にも打ち明けられず、アタシの心の中で、恐怖は日に日に膨らんでいった。

「マリア……どうしちゃったんだろう」
「……え?」

隣を振り向くと、調も俯いている。

理由はきっと、昨日のマリアの言葉。
ドクターに賛同する。そう宣言したマリアの言葉を、アタシ達は未だに受け入れられていなかった。

「わたしは、マリアだからお手伝いがしたかった。フィーネだからじゃないよ……」
「う、うん……そうデスとも」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ