第29節「英雄故事」
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》 雲上我要去寫……」」
「前を向け! 天に届く夢を持てッ!」
「「「──名字ッ!」」」
師弟三人による英雄故事に盛り上げられ、ランニングの後も修行は丸一日かけて続いた。
「よ……ッ! ほ……ッ!」
棒にぶら下がりながら、下に置かれた二つの水瓶それぞれに入った水を、両手に持った猪口に汲んで上体を起こし、戻す際に水を汲み替える修行。
「はッ! ……はッ!」
「これもまた、剣としての──ッ!」
縄跳び。空気椅子(膝、肩、頭に水入りの茶碗)、肉屋の冷凍倉庫で凍った生肉をサンドバッグにしてのスパーリング。
「あ……これ、美味いな!?」
「どうしてミルクセーキ?」
「昔は生卵をジョッキで飲んでたんだけど、あれ健康的にはあまりよろしくないらしくて……。だから牛乳加えて加熱したミルクセーキの方が飲みやすいしいいんじゃないかって、叔父さんに提案してからは、俺が作ってるってわけ」
「おかわりーッ!」
日本アルプスを登り、翔特性のミルクセーキをジョッキで飲み干し……。
訓練の締めに、一同は頂上のロッジの前で夕日を眺めていた。
「ふぅ……」
「どうだ? たまには初心に返って基礎訓練をするのもいいものだろう」
「やっぱり叔父さんとの修行は身になるなぁ〜」
「ありがとうございます、師匠ッ!」
「うむッ!」
翔と響はこの修行を心から楽しんでいたらしく、夕日に向かってガッツポーズしている。
「……未来、待ってて。今度は必ず、わたしが未来を助けるからッ!」
「そこは“わたしが”じゃなくて、“わたし達が”だろ?」
「うん、そうだねッ! わたし達で、未来を助けるんだッ!」
一方、純とクリスはと言うと……。
「はぁ、はぁ……やってられねぇ」
「おつかれ、クリスちゃん……。いや、これ、思ってた以上にキツイな……。翔や翼さんは慣れてるみたいだったけど……」
クリスは地面に大の字で寝転がり、純はその隣に腰を下ろして夕日を眺めていた。
「でも結構効いてる実感はあるんだよね……。ジム通いよりは練度上がりそう……」
「定期的にこれ全部やるのはごめんだけどな……」
そして、翼はというと……。
(……翔も、立花も、雪音も爽々波も、誰も彼もが笑っていて、温かいこの場所。……でも、わたしはみんなを……この国を護るには、余りにも弱すぎる……。やっぱりわたし一人じゃ……奏……)
沈みゆく夕日に、あの日を思い出しては瞳を曇らせていた。
剣としての毅然とした顔の裏に隠した弱さを、翼は誰にも見せられない。
何故なら彼女は……この国を護る兵、防人なのだから。
ff
「りん
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