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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第29節「英雄故事」
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収された、未来くんの通信機だ」
「……ッ!」
「発信記録を追跡した結果、破損されるまでの数分間、ほぼ一定の速度で移動していたことが判明した」
「……え」

モニターに発信機のGPS記録が表示され、響は顔を上げる。

「未来くんは死んじゃいない。何者かによって連れ出だされ、拉致されたと見るのが妥当なとこだが……」
「師匠! それってつまり……ッ!」
「こんなところで呆けてる場合じゃないってことだろうよッ!」
「響ッ!」
「うんッ!」

響と翔が顔を見合わせ、翼とクリス、純が胸を撫で下ろす。
純の予想通り、未来は生きていたのだ。

「さて、気分転換に身体でも動かすか?」
「──はい!!」

弦十郎に頭を撫でられながら、響は元気よく返事した。

(そうだ……俯いてちゃダメだ。わたしが、わたし達が未来を助けるんだッ!)



数分後、ジャージに着替えた響達は、弦十郎と共に基礎訓練のランニングを始めていた。

……弦十郎が古いカセット式のウォークマンで再生しながら口ずさむ、昔のアクション映画の主題歌と共に。

憑自我(パンチーンゴー) 硬漢子(ンガァンホンチー) 挨出(ペンチョッ)一身痴(ヤッサンチィ)──」
「何でおっさんが歌ってんだよ! ってか、そもそもコレ何の歌だ? 大丈夫か?」
英雄故事(イェンホングンシ)。ジャッキーチェン主演、ポリス・ストーリーでジャッキーが歌った主題歌だ。ちなみに意味は……」
「いや、そこまで聞いてねぇよ!」

100パーセント弦十郎の趣味な選曲に加え、翔の長くなりそうな解説に、ダルそうに走っていたクリスは思わずツッコミを入れる。

「翔、これ歌えるの?」
「日本語訳もいけるぞ?」

そう言って翔は合いの手を挟むように、歌詞に日本語訳をねじ込み始めた。

生命(サァンメン) 作賭注(チョッドウチュ) 留下了(ラゥハリュ) 英雄故事(イェンホングンシー)
「命をかける、それがヒーローだ!」
「ったく、慣れたもんだな……」
「まあまあ、いいじゃないか。体鍛えながら中国語勉強できると思えば、一石二鳥だろう?」
「ジュンくん、それ流石に厳しい」

仲間たちと共にランニングする中で、響の気持ちが前を向いていく。

(そうだ。うつむいてちゃダメだ。私が未来を助けるんだ!)
憂患(ヤーゥワァン) 見骨氣(ギングァッへィ)「「昂歩顧(ンゴンボゥグ)分似醒獅(パァチィセングシー)」」
「俺の魂は獅子のように強いッ!」

弦十郎のテノールに、響の声も加わる。
更に翔が合いの手の如くねじ込んでくる日本語訳は、もはや師弟が一体となって奏でる一つのシンフォニーと言えるのではないだろうか?

「「|跨歩上《クヮボゥセェン
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