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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
疾走編
第二十九話 新任務
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の次席副官の任務内容について教えて下さるという事で、わざわざ閣下が時間を割いて下さったのだ。よって君がここに居る筈もないし、君が閣下と話す事も私の預かり知らぬ事だ。聞こえてはいるが聞いてはいない。いいな?」
「…了解しました。私はここに居りません。よって中将閣下と話す筈もありません」
「よし。…閣下、お願いいたします」
「大佐、ありがとう。…済まんな大尉、君を呼んだのは私なのだ。八艦隊司令官の私がEFSF所属の君を呼びつける理由も権限もないものでね。君やキャゼルヌ大佐の交遊関係を利用させてもらった。呼ばれた理由は、分かるかね?」
「口にしてもよろしいのでしょうか?訳知りはあまり居ない方がいいのではないですか?」
「構わない。君も当事者の一人なのでね」
「…先日の麻薬密売の件、ですか」
「そうだ」
「お言葉ですが閣下、私が当事者の一人というのはどういう事でしょうか?確かにビュコック提督に進言もしましたし、捕らえた艦隊司令官の聴取も私が行いました。それだけで当事者と仰るのはいささか…」
「心外かね?」
「はい」
「聴取の映像記録を見せて貰ったよ。私だけじゃない、統合作戦本部長、宇宙艦隊司令長官、後方勤務本部長、各艦隊司令官達でだ」
「はい」
「あの聴取で君は、カイザーリング帝国中将は麻薬密売の犯人ではない、と推論を述べていたな。誰かを庇っているのではないかと」
「はい。目の前にいたカイザーリング帝国中将は穏やかで聡明そうな方でした。とても麻薬密売を行っている様には見えなかった。今思うと根拠としては薄弱ですが」
「…私には君が全てを知っていて話しているように見えたがね」
「聴取で述べた通りです」
「フフフ、まあいい。麻薬密売も厄介だが、話し合いの結果、もう一つ厄介な問題が浮上した」
「麻薬だけでなく、情報も扱っていたのではないか、という事ですね。親切な先輩が教えてくれました」
「そうだ。それであの件を更に深く追及せねばならなくなったのだ。麻薬密売については判明している。主犯はクリストフ・フォン・バーゼル。カイザーリングの旧友だ。彼の艦隊の補給担当参謀でもある。まあこれは君の聴取で判った事だから君も当然知っている。問題はこの後だ。麻薬と金塊以外、物証がないのだ。投降したカイザーリング艦隊の艦艇を全て調べたが、何もない。ヴァンフリートW-Uの生産プラントに居た同盟側の人間についても背後を追えていない。そこで、核心をつく事にしたのだ」
「核心ですか?」
「バーゼルの妻、ヨハンナだ。彼女を亡命させる。彼女はバーゼルの金庫番だ。情報も握っている。意外な事にカイザーリングもバーゼルも協力的だ、司法取引というやつだな。君にはヨハンナの亡命の手引きをやってもらう」
「…なぜ私なのですか?」
「カイザーリングからのご指名だよ。若さに似合
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