疾走編
第二十九話 新任務
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「そうか。まあ気心の知れている同士の方が楽だからな。だが、弊害もある」
「何故です?」
「他人の考え方が判りづらくなるからさ。それに、同じチームで長く組むと物の見方が狭くなりがちだ。役割も固定されるから誰かが抜けた場合替えが利かなくなる事も多い。まあ、そこは考えた上でやっているんだろうが」
「なるほど…確かにそれはそうですね。だからという訳じゃないんですが、ニューフェイスが欲しいんですよ。フォーク…アンドリュー・フォークを呼ぼうかと思いまして」
「フォークか。本人には話したのか?」
「いえ。士官学校をでた後は連絡を取っていませんので、現所属も知りません。ご存知ですか?」
「知ってるも何も、このビルにいるよ。作戦情報科だ。おっと、この後行こうなんて思うなよ」
「元気ですか、奴は」
「元気だよ。昨日もウチに来たな。あいつ、ウチの家内のミートパイがお気に入りなんだ。お前さんもそうだが、やはり首席は伊達じゃないな。いい話相手だよ。この間なんて、ヤンを三次元チェスでコテンパンにして鼻息荒くしてたな」
「はは、ヤンさんは三次元チェスど下手ですからね」
フフフ、いい傾向だ、闇落ちフォークは回避されそうだな。ヤンさんとフォークが三次元チェスか…見てみたいもんだ。
「そうだな、ヤンと言えば…というか、今回お前さんを呼び出した件なんだが」
「…真面目に聞いた方がいいですか?」
「まだ真面目にならんでもいい。これからお前さんに会ってもらう方がいる。まもなく、来るはずだ」
「どなたです?」
「それは言えん。来れば分かるさ」
なんだなんだ?非公式、ってやつか?
「お、一一四〇になった。お前さんとの業務調整の面談時間は終了だ。現時刻以降、お前さんはこの部屋にいない事になる。ビル立入のパスがあるだろう、渡せ。こちらで返しておく」
「…えらく大袈裟ですね」
「機密保持のためさ」
キャゼルヌ大佐がどこかに電話して、それが終えると……あれ?部屋を仕切っているパーティションの向こうから…俺が出てきた…??
「すごいだろう?彼はお前さんに似せたマスクを被っているんだ…オイ、パスを返したら時間をずらして戻ってこいよ」
もう一人の俺は右手を軽く挙げると参事官室を出て行った。しかし…いつの間に俺の顔のデータなんて採ったんだ?おっかねえ組織だぜ…
「そろそろ来るぞ。ここからは大真面目だ」
「了解しました」
参事官室に入ってきたのは、壮年で黒い肌、高身長の、いかにも軍人という風貌の中将だった。
「凝った趣向で申し訳ないな、ウィンチェスター大尉。ああ、敬礼はいい、シトレだ。よろしく」
「ウィンチェスターです。…すみません閣下。大佐、これは…」
「シトレ閣下が大将に昇進なされた後、私は閣下の次席副官になる事が内示されている。今日はそ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ