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ドリトル先生の競馬
第五幕その七

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「結婚出来るよ」
「出来ない筈ないよ」
「だから安心してね」
「ちょっと傍を見ればいいのよ」
「それでいいかな、しかしね」
 それでもと言う先生でした。
「僕がもてないことは事実だしね、今もね」
「相手がいない?」
「そう言うんだ」
「やれやれね」
「私達がいつも言ってることなのに」
 動物の皆は一切気付かない先生に困ってしまいます、ですがそれでも先生は気付きません。こうしたお話をしつつ出店のものを食べて御神酒を飲んでです。
 花火を楽しんでいますと後ろから声がしました。
「先生ですか?」
「その声は」
 振り向くとです、そこにはです。
 ホフマン君がいました、白いシャツに青いジーンズがよく似合っています。その右手にはフランクフルトがあります。
「君だね」
「はい、先生もお祭りに来られたんですね」
「それでこうしてね」
「飲んで食べてですね」
「花火も楽しんでいるんだ」
 先生はホフマン君ににこりと笑って答えました。
「この通りね」
「そうなんですね」
「そして君もだね」
「はい、さっきは出店のフライドポテトを食べました」
「ジャガイモだね」
「潰しているのが一番好きですが」 
 ジャガイモはというのです。
「フライドポテトも好きなので」
「買って食べていたんだ」
「それで今はフランクフルトを」
 これをというのです。
「食べています」
「そうしているんだね」
「はい、それで」
 見ればホフマン君の左手には紙コップがあります、その中には。
「お酒も飲んでいます」
「御神酒の日本酒だね」
「こちらも飲んで」
 そうしてというのです。
「楽しんでいます」
「そして花火もだね」
「いや、日本の花火はいいですね」
「凄く奇麗だね」
「芸術ですね」
 先生ににこりと笑ってこうお言いました。
「本当に」
「そうだね、こうして見ていると」
「それで、ですよね」
「僕も心からそう思うよ」
 芸術品、それだというのです。
「本当に」
「そうですね」
「うん、そしてこうした日本の夏をね」
 さらに言う先生でした。
「楽しむこともね」
「いいことですね」
「夏バテは気力も大事だから」
「楽しい思いをしてですね」
「英気を養うこともね」
 このこともというのです。
「大事だよ」
「そうですよね」
「だからね」
「はい、今もですね」
「じっくりとね」
 まさにというのです。
「楽しんでね」
「出店のものもお酒も花火も」
「全部ね」
「わかりました」
 こう言ってでした、そのうえで。
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