暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第28節「消えた陽だまり」
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
なさい」
「──マリィ?」

ウェルとの間にマリアが割って入り、ウェルを庇うように立ちはだかる。

「どうしてデスか……ッ!?」
「ハハハッ、そうでなくちゃッ!」
「マリィ、そいつを庇うのかッ!?」
「偽りの気持ちでは世界を守れない。セレナの想いを継ぐ事なんてできやしない──。全ては力……。力を以て貫かなければ、正義を成す事などできやしないッ! 世界を変えていけるのはドクターのやり方だけ。ならば私はドクターに賛同するッ!」
「「「──ッ!」」」
「ふ……ふふふふふ……ッ」


描いたとおりに事が動き始め、ウェルは思わず笑みを漏らす。
既にナスターシャの余命は残り僅か。極大災厄に抗うには、もはや一刻の猶予もない。

となれば、精神的に追い込まれたマリアが自分に賛同するのは道理だ。
ウェルはマリアの背後でほくそ笑んでいた。

「そんなの嫌だよ……。だってそれじゃ、力で弱い人達を抑え込むって事だよ……」
「調の言う通りだ。こんなやり方、俺達が最も忌み嫌ってきたものじゃないかッ!」

調の絞り出すような反論に、ツェルトも賛同する。
だが、ウェルはそれすらも読んでいたかのように、二人の反論を潰しにかかる。

「では調さん。あなたはこれまでの任務で、たとえ相手が自分より弱くても目的遂行の為ならば仕方ない……そう考えたことはないというのですか?」
「……ッ! それは……」

調の脳裏に浮かんだのは、ライブ会場での一件。
緒川に見つかってしまった時だ。

それから、ネフィリム起動のためにシンフォギアのペンダントを奪いに行った時もそうだ。
相手は翼だったとはいえ、いざとなればギアを纏い、奇襲をかけようとしていた。

自らの未熟さの中にあった矛盾を突かれ、調は言葉を失う。

「ツェルト、君は甘い。マリアも言っていたでしょう。現実は君の大好きなヒーローコミックの世界ほど、甘くはないのですよ」
「だが、お前のやり方が正しい道理などあるものかッ! 無関係の人達も沢山巻き込んで、ネフィリムに装者の腕を食わせるような真似までしておきながら、どの口で物を言ってやがるッ!」
「あれらはヒトではありませんよ。あなたも見たでしょう?」
「心があり、自分の意志がある以上、あの二人は人間だッ! 誤魔化そうとしてんじゃねえッ!」
「二人とも、そこまでにしてッ!」

マリアの言葉に、ツェルトは思わず口を閉じる。

「お願い、分かってツェルト……。もう時間がないの……もう他の道を進むには、私達遅すぎたのよッ!」
「だが──ッ!」
「いつだって、力なき者は強者に踏み躙られ、奪われ、最後は捨てられるのが常……。力なき理想に、弱いだけの正義に、守れるものなんてこの世にはないのッ!」
「……わかりました……」

そこ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ