暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第28節「消えた陽だまり」
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
漢を見せたんだ」
「でも、小日向さんは……」
「……確か、恭一郎が落ちた時、小日向さんはあそこから手を伸ばしていたんだよね?」
「ああ……」

純の質問に頷くと、純は顎に手を当てて考え込む。

「だとしたら……小日向さん、まだ無事でいる可能性があるぞ?」
「え……それは本当かい!?」

純の一言に恭一郎は思わず彼に詰め寄った。

「小日向さんの位置的に考えて、爆風で落下してくる可能性は低くない筈なんだ。でも、小日向さんは落ちてこなかった。だとすれば……」
「立花さんにも伝えなきゃ……ッ!」

自分と同じくらい、いや、それ以上に落ち込んでいるであろう響の元へと走ろうとして、恭一郎はふと立ち止まる。

「……そういや、翔は?」
「ああ、なんでも司令達に報告があるって。どっから持ってきたのか分からないけど、何かのファイルを持っていたような……」

ff

「っ!!」

エアキャリア内、作戦会議室。

やり場のない怒りに、マリアは力任せに窓を殴りつけた。

「この手は、血に汚れて──セレナ、私にはもう……うわああああ……ッ!」

米兵に向けてガングニールを振るった瞬間を思い出し、慟哭するマリア。
ツェルトはマリアの肩に手を置く。

「落ち着けマリィ。撤退前に確認したが、死人は一人も出ていなかったッ! 君は誰も殺してなんか──ッ!」
「それでもッ! この強大な力を、私自身の意志の元で誰かにぶつけ、傷つけた事実に変わりはないッ!」
「ッ! それは……」

人を殺めたのでは、という意識ではない。
自分の手で彼らを傷つけ、その手を血に染めた事自体が、彼女の自責の根底だ。

「これまで私の代わりに矢面に立とうと、その鋼の腕で私を守ってくれたあなたには、謝っても謝りきれないわ……。誰も傷つけずに世界を救おうだなんて甘い考えじゃ、何も守れない……。分かっていた筈なのに、どうしてもっと早く──」
「馬鹿を言うなッ! だからって、自分から積極的に他人を傷つけに行く者に、正義なんてあるもんかッ!」
「現実はそう甘くないのッ! これは訓練でもリハーサルでも、コミックや映画でもないのよッ!」
「……ッ、マリィ……」

鬼気迫る表情でまくし立てられ、ツェルトは何も言えなくなってしまう。

「もう、迷わない。この手を血に汚すことを、決して……躊躇わない──ッ!」

自分に言い聞かせるように、そう宣言するマリア。

調は、予備の車椅子に腰を下ろしたナスターシャ教授に問いかける。

「教えて、マム。いったい何が……?」
「……それは」
「それは僕からお話しましょう」
「ッ!」

ナスターシャ教授の言葉を遮って入室してきたのは、やけに気分のよさそうなウェルだった。

「ナスターシャ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ