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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第28節「消えた陽だまり」
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そして、遅れて到着した翼もまた、目の前の光景に呆然と立ち尽くしていた。

ff

(絶対に離しちゃいけなかったんだ。未来と繋いだこの手だけは……)

戦闘終了後、無事二課に保護された響は、手を離した瞬間の未来の顔を思い出しながら項垂れていた。

未来と繋がれていた左手を握り、後悔に苛まれる。
そこへ、紙コップを持った友里がやって来た。

「あったかいもの、どうぞ。少しは落ち着くから……」
「ひく……ぅ……」

いつも通り、友里が持ってきてくれた珈琲は、熱すぎない温かさで湯気を立てている。

しかし、その温かさは今、響の心に空いた穴を実感させるばかりで、とても喉を通らなかった。

「響ちゃん?」
「……でも、わたしにとって一番あったかいものは、もう……ううぅ……」

再び泣き始める響。
友里にかける言葉はなく、ただ、今はそっとしておくべきだと判断し、その場を離れるのだった。



「恭一郎」

振り返った先には、紙コップを持った純が立っていた。

「ほら。これでも飲んで、一息ついて」
「ありがとう……」

紙コップを受け取り、一口飲む。

注がれていた珈琲は適温で、味はとても体に染みた。

「……僕は……結局のところ、何もできなかった」
「そんなことないよ」
「でも小日向さんはッ! あの場に居たのに何もできなくて……なのに僕は無事に帰ってきて……」
「その言葉、次言ったら怒るよ?」
「……ッ! ごめん……」

いつも落ち着いている純からの、今まで聞いたことのないほどに低いトーンの声。
自分の不用意な言葉が、彼の精神を逆撫でしたことを悟り、恭一郎は慌てて謝る。

「……本当に、君は自分が何もできなかったと思っているのかい?」
「それは、どういう……?」

首を傾げる恭一郎に、純は彼の方を見て答える。

「翔から君に伝えるようにって言われててね。階段前の瓦礫、君が除かしたんだろう?」
「それは……」

恭一郎は、両掌を見る。
貼られたガーゼの下には、瓦礫を持つ際にできた擦り傷が疼く。まるでそれは、彼の奮闘を証明する勲章のようだ。

「恭一郎。君はあの場に於いて、自分が出来る最善を尽くして足掻いたんだ。僕や翔みたいに戦う力はなくとも、小日向さんと立花さんを助けようとしたんだろう?」
「あの時は必死で……ああしなきゃって……」
「壁を突き破る覚悟と、逆境に立ち向かう意思。君がかざしたものは、確かに翔の道を作ったんだ」
「……ッ!」

その言葉に、恭一郎は顔を上げる。
もしもあの時、自分が諦めていたら、翔はあの場に立っていなかった。

それどころか、自分は真っ逆さまに落っこちていたかもしれない。

「誇れよ、恭一郎。君は確かに、
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