第27節「繋ぐ手と手…戸惑うわたしのため…」
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でも、やらなきゃ……。
僕がやらなきゃ!
「加賀美くんッ!?」
「恭一郎くんッ!」
「おおおおおおッ! 絶対……絶対に……除かしてやる……ッ!」
背後から聞こえる、二人の声。
僕を心配している声。
僕は負けない……諦めないッ! 絶対に、やってやるんだ……ッ!
「男ならッ! 高い壁でも突き破れッ! うおおおおおおーーーッ!」
僕自身を奮い立たせるその言葉が実を結んだのだろうか。
手をかけていた瓦礫はとうとう持ち上がり、非常階段への道は開かれた。
「開いたッ! 小日向さん、立花さん、先に──」
そこまで言いかけた、その時だった。
「わッ!?」
「うわわ、わああ……ッ!」
度重なる爆発で構造が脆くなっていたのか、展望デッキが崩れ始める。
そして、窓に近い場所にいた立花さんは崩壊に巻き込まれ、抜けた床から落下する。
「──響ぃッ!」
小日向さんの手が、何とか立花さんの左手を掴む。
しかし、小日向さん一人では引き上げることは出来ないだろう。
「今そっちへ……!」
瓦礫を床に置き、小日向さんの方へと向おうとする。
その時、下の階で更なる爆発が起きた。
「うわぁッ!」
揺れで足を滑らせてしまい、僕は抜けた床の縁を踏み外していた。
「加賀美くんッ!」
「ッ! ぐッ……ッ!」
ギリギリのところで、なんとか床の縁を掴む事ができ、落下は免れる。
でも、早く上がらないと……僕も、小日向さんも長くはもたない……!
「未来ッ! ここは長くもたないッ! 手を放してッ!」
立花さんが叫ぶ。
立花さんは、シンフォギアを使うつもりなんだ……。
でも、小日向さんはそれを拒んだ。
「ダメッ! わたしが響を守らなきゃッ!」
「未来……」
「う、く……」
「恭一郎ッ!」
手を掴まれて顔を上げると、そこには翔の顔があった。
「翔ッ!」
「すまない……。降りてくる人達を避けるのに、手間取ってな」
翔は何とか、僕を引き上げようとする。
しかし、中々引き上げる事が出来ない。
「いつか……本当にわたしが困った時……未来に助けてもらうから。今日は、もう少しだけ……わたしに頑張らせて……」
「──わたしだって、守りたいのに……ッ!」
小日向さんと立花さんは、なんだか今わの際みたいな会話をしている。
「翔、僕は何とか自分で上がってみる! だから小日向さんの方をッ!」
「馬鹿野郎ッ! お前を助けてからに、決まって──ッ!」
次の瞬間、立花さんの左手は、小日向さんの指をすり抜けて落ちていく。
立花さんの方から手を離したんだ……。小日向さんが支えきれずに離すことを分かった上で……。
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