第27節「繋ぐ手と手…戸惑うわたしのため…」
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リクスが、この天才的頭脳を以てして組織を引っ張っていかなくてはッ!
僕の時代が遂に来るんだ……。僕を散々利用しようとしてきたクセしてぞんざいに扱ったあいつらに、僕の力がどれだけ組織を支えてきたかを分からせてやる時が来たんだ!
フロンティアは僕が浮上させる。人類はこの僕が救済する。
人の身で為し得ない困難でも、天才であれば達成できる。
そして人の身に余る偉業を成し得た時、その天才を人はこう呼ぶ。英雄とねぇ!
さて……その為にもまずは、彼女達の退路を断たなくては……。
まあ、どうせ米国政府の事です。約束なんて守る義理は今更ないでしょうしねぇ。
精々、僕が組織の長として君臨する為の礎になってもらいますよ。
「ここからはショーがよく見えることですし。せっかくなので、もっと派手にしましょうか」
椅子に立てかけるように置いていたソロモンの杖を、窓の方へと向ける。
呼び出されたノイズが群がり、タワーに集まる観光客の喧騒は、騒乱のパレードへと変わっていった。
さあ、ショータイムです。
新しい時代への幕開けだ──。
ff
「翔、お前は上に戻れッ!」
ツェルトはアタッシュケースを開き、そこに仕舞われたRN式Model-GEEDを義手と付け替えながら言った。
「でもお前はッ!」
「ドクターがノイズ出してきたってことは、今頃取引の場はぶち壊しになってる筈だ。マリアはきっと、マムを連れて逃走してる頃だと思う。お前は急いで、立花響の所に戻れ」
「だけど……助けるって言った手前、戻るわけには……」
するとツェルトは、厳しい声で言った。
「お前の気持ちはありがたい。だが、立花響はお前のガールフレンドなんだろう? 俺より彼女の方が大事じゃないのか?」
「ッ!」
「俺はマリィとマムに合流する。お前はこいつを持って、大切な人の元へ戻れ」
そう言って、ツェルトは俺にファイルされたレポート用紙を手渡す。
「F資料だ、持っていけ。俺達の目指すものはそこにある」
「……分かった。お前はどうするんだ?」
「マリィ達と合流したところで、多分ヘリキャリアに撤退することになるだろう。ファイルに名刺を入れてある、後で連絡してこい」
「ああ。確かに受け取った」
「それじゃ、またな」
「互いに健闘を祈る」
俺はF資料をしっかりと握り、階段の方へと引き返した。
響も俺も、今はギアを纏う事を禁止されている身だ。
響の無茶は小日向が止めてくれるだろうが、その小日向と恭一郎には身を護るすべがない。
急がなくては……。何かが起きる、その前にッ!
「さて、行ったな……」
義手をRN式へと換装し、俺はアタッシュケースの一部を踏み込む。
その瞬間、RN式の起動を確認し
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