ギターケースの少女
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。
ハルトは首をかして、
「どうしたのまどかちゃん。トカゲって焼いたら美味しいよ」
「美味しいって……貴女も」
まどかは、同意見を求めて少女を見る。
少女も少し口角が吊り上がっているものの、「う、うん……それは確かにタダの食料だよね」と同意していた。
「よかった、まともな人はトカゲなんて食べないよね」
「トカゲって、わりとカリカリしてるだけで肉少ないけど」
「何言ってるの?」
まどかが少女の顔を見て唖然とする。
だが、少女はまどかの反応とはさらに反対の言葉を口にする。
「でも、正直虫とかよりはまだいいかな。私、旅を始めてから半年くらいなんだけど、意外と食べ物事情って、ゲテモノに慣れれば何とかなるんだよね」
「何とかなっちゃダメだよ! 人間として!」
「そうそう。あ、山とか越えたことある? キノコとか動物とか、結構色々あるよね」
「キノコ? 原生しているキノコ? ハルトさん、そんなの食べてるの?」
「私、岐阜の方から来たから、結構山の幸は理解しているつもり。多分見滝原の中では、結構知ってる方じゃないかな」
「うがああああああああ?」
突如として、まどかが発狂したように叫んだ。
「二人とも! 家に! 来てください!」
茶碗一杯に盛られたご飯。和風ならではの味噌汁。
ハルトにとって、そんな豪華な食事はいつ以来か分からなかった。
「「おかわり!」」
少女と同時に、茶碗を突き出す。彼女も茶碗の中は空っぽだった。
「うん。了解」
そうにこやかな返事をしたのは、まどかの母親、鹿目詢子。キャリアウーマンの彼女は、たまたま今日有給を取っていたらしく、夕方過ぎの夕食と言っていい時間帯に、ハルトと公園の少女は遅すぎる朝食を摂っていた。
「それにしても二人ともよく食べるね。旅をしているんだって?」
そういって、鍋ごと机の上に置いたのは、眼鏡の男性。にこやかに笑いながら、空いた皿にお替りを持っていく。
まどかの父であるこの男性は、鹿目知久と名乗った。
専業主夫らしい彼は、慣れた手つきでよそおった。
「すごいなあ。僕も一度旅とかしてみたいけど。えっと、名前何だっけ?」
「あ、自分は松菜ハルトっていいます。大道芸人で、旅をしてます」
「ああ。君が。まどかからよく聞いているよ、ハルト君。何でも、人助けもよくやっているそうだね」
「ええ……まあ。なんかごめんなさい。娘さんをあちこち引きずりまわして」
「いえいえ。まどかも楽しそうだから」
「大道芸人?」
少女が目を吊り上げる。ハルトはそれを無視しながら頷く。
次に、知久は少女に声をかける。少女は改めて、
「私、衛藤可奈美です。その……ある人を探し
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