疾走編
第二十八話 余波
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現時点では、だ。何らかの結果が出れば公表する、と俺は聞いている…今公表してみろ、何も分からない今の時点ではマスコミのいい的だぞ”
「…そうですね」
”国防委員会も軍も、その降伏した帝国艦隊の人間達の取り調べが終わるまではこの件については何も出来ないんだ。推測で物は言えんからな。とにかくだ、もう関わるんじゃないぞ。じゃあな“
791年3月25日12:20 エル・ファシル星系、エル・ファシル、自由惑星同盟軍エル・ファシル基地
EFSF地上司令部 オットー・バルクマン
「キャゼルヌ大佐との話、長かったな」
「なんでオットーが通信先を知ってるんだ?」
「オペレータが教えてくれたのさ。元気だったか、キャゼルヌ大佐は」
「元気そうだった。面倒な事聞かされたよ」
「…今回の人事の件か?」
「なんだ、知ってるのか?」
「そりゃあね。副官やってれば知りたくない事も知らされるさ。マイクの奴は、こういうのと無縁なのかな」
「第五艦隊に行きたくないのか?」
「そういう訳じゃないよ。光栄な事さ、ビュコック提督の副官を続けられるんだからな…キャゼルヌ大佐、シトレ中将とロボス中将の事、何か言ってたか?」
「…二人共昇進する、昇進と同時にシトレ大将は宇宙艦隊司令長官代理に任命される」
「そうか、それだけか…」
「何か、あるのか」
「派閥争いさ。今回の麻薬密売の件で、シトレ中将を頼っただろう?結果、中将を通じて上には報告されてる。本来ならウチから直接報告しなきゃいけない事だ。そして、結果だけ言えばシトレ中将は宇宙艦隊司令長官代理になる。それを面白く思わない人がいるって事さ。お前の事だ、これだけ言えば誰だか分かるだろう?」
「ロボス中将…」
「名前は出さなくてもいいさ。さっき超光速通信で嫌味を言われたよ。ああ、言われたのは俺じゃないけどな。横で聞いてて腹が立ったよ」
「そうなのか…」
「それで回線がもう一つ使われているのに気付いたのさ。オペレータに聞いたらお前だった、って訳」
「なるほどなあ」
「艦隊司令官達は皆集められて聴取の記録映像を見せられたそうだよ。統合作戦本部長、宇宙艦隊司令長官、後方勤務本部長も同席の上でな。勿論、持ち込んだのはシトレ中将だ」
「モグラ探しか?」
「基本的にヴァンフリートW-Uの補給基地建設の事を知っているのは彼等だけだからな」
「でもロボス中将だって昇進するんだから……ああ、シトレ中将が司令長官代理になるのが気に食わないのか。ビュコック提督が力添えしたと思われているんだな?」
「そういう事さ」
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