第三章
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だからだとだ、妻は夫に話した。
「だからね」
「わし等はコロのそのことを受け入れてか」
「一緒に暮らしていきましょう」
「そうしていくか」
「お散歩の時はね」
朝と夕方のその時はというのだ。
「コロが行きたい様にね」
「バス停のところに行ってか」
「それであの子がしたい様にしてあげましょう」
「それじゃあな」
実篤は妻のその言葉に頷いた、そうしてだった。
二人でコロとの暮らしを続けていった、散歩の時コロはいつもだった。
バス停に行ってバスが行く方そしてバスが動くのをじっと見た、少しの間それを見てから悲しそうな顔になる。それからまた散歩を再開する。
老夫婦はずっとそれを見る、そしてだった。
コロと共に散歩を再開する、その中で実篤は息子の仕事のことを聞いた。
「十年はな」
「日本に戻れないの」
「ああ、ずっとな」
それこそというのだ。
「サウジアラビアでな」
「お仕事なのね」
「家もあっちにあるしな」
今ではというのだ。
「だからな」
「十年はなの」
「戻って来られないそうだ」
「じゃあコロとは」
「三人共残念がっているらしい」
息子とその家族達はというのだ。
「そのことをな」
「やっぱりそうなのね」
「どうしてもな、それならな」
「私達はね」
「あの子達の残念さを晴らす為にも」
「コロを大事にしていかないと駄目ね」
「コロが幸せなら雄吾達もほっとする」
日本に置いてきたことが本当に残念に思うだけココを大事にしているならというのだ。ココが幸せなら。
「だからな」
「じゃあ」
「これからもな」
「ええ、コロを何よりも大事にしていきましょう」
「いいご飯をあげて散歩にも連れて行って」
「お風呂にも入れてブラッシングもかけて」
「あの子がこれ以上はないまでに満足に感じる様にしてあげよう」
その言葉通りにだった、老夫婦はコロを大事にし続けた、コロはその二人を見るといつも明るく尻尾を横に振った。
バス停には毎日朝と夕方に通い続けた、しかし。
それでも二人に懐き続け幸せそうだった、二人もそんなコロと幸せに過ごした。そしてその暮らしを息子の家族にいつもメールで知らせた、すると彼等も嬉しく思った、それで実篤は妻にある日の息子からの返信を見てから妻に話した。
「雄吾はまた喜んでくれたよ」
「コロが楽しく暮らしてるって聞いてよね」
「ああ、そうだよ」
「それはよかったわ」
「サウジアラビアにいてもな」
「ずっとコロのことが気になっているから」
「いい話に喜んでくれているよ」
妻に笑顔で話した。
「だからこれからもな」
「コロのことを伝えないとね」
「幸せだってな、そうしていこうなコロ」
「ワン」
今は二人と同じ部屋にいるコロは明る
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