第一章
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友達を守る
ライア=クドシャウスカヤはロシアのある小さな村に夫のセルゲイ=クドシャウスキーそして娘のユリア=クドシャウスカヤと一緒に暮らしている。三十を過ぎてもまだすらりとしている金髪碧眼の美女だ。娘はその幼い頃にそっくりの長い髪の毛の少女だ。
家には三人の他に黒と白で顔の真ん中と腹、足首と尻尾の先がその白になっているライカ犬のレックスがいる、ユリアとレックスは同じ日に生まれて共に六歳だ。
ユリアとレックスはいつも仲良く遊んでいる、それはこの休日も同じだった。
ユリアとレックスは最初家の庭で遊んでいてユリアは夫に言った。
「ねえ、休日だけれど」
「ああ、畑の方だな」
妻と同じ金髪碧眼だが大柄で逞しい身体に優しい顔立ちで顎鬚がある。
「見に行くか」
「ちょっとでもね」
「何があるかわからないからな」
「ええ、それでね」
「見に行くか」
「ユリアはレックスが見ているから」
遊んでいる娘達を見つつ言う。
「だからね」
「今の間にな」
「行きましょう」
「それじゃあな」
夫も頷いてだった、そのうえで。
二人で畑を見に行った、するとだった。
荒れている部分があった、ライアはそれを見て夫に言った。
「熊じゃないわよね」
「この辺りにはいないだろ」
「じゃあ鹿かしら」
「それだな」
その畑を見てだ、夫は爪に答えた。
「これは」
「そうよね」
「とにかく畑戻してな」
「鹿出たならね」
「退治しないとな」
「ええ、早くね」
「また畑荒らされる前にな」
農家にとっては深刻だ、それでだ。
鹿を退治することを話した、そこで夫は妻にこうも言った。
「思い立ったがだからな」
「今すぐになの」
「畑なおしてな」
そしてというのだ。
「猟銃持って森に行くな」
「そうするのね」
「ああ、レックスも連れて」
番犬としてだけでなく猟犬としても働いてくれているのだ。
「行って来るな」
「休日でもなのね」
「そうだな、休日だからな」
神が定めた日だからとだ、セルゲイは応えた。ソ連が崩壊してロシア正教も復権していてこう言うのだ。
「今日は畑だけにするか」
「そうしましょう」
「それじゃあな」
こう話してだった。
夫婦で畑をなおしてからだった、そのうえで。
家に戻るとだ、ユリアとレックスがいない。それでライアはこう言った。
「外に行ったのかしら」
「そうみたいだな」
「そうね、けれどいつもお昼には帰って来るし」
ご飯を食べにだ。
「安心していましょう」
「それじゃあね」
二人でこう話してだ、この時は安心してだった。
娘達が帰って来るのを待っていた、だが。
ユリア達は昼になっても帰って来ないのでだ、ライアは夫に
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