第四章
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「鏡に映したみたいね」
「お互いそっくりね」
「本当にね、けれどね」
「あと二匹いるのよ」
「その娘達にも会わせてみるわね」
望は彩華に答えて実際にそうしてみた、するとだった。
後の二匹、二日も三日も鏡合わせの様であったので会わせた翌日学校で彩華にあらためてこう言った。
「いや、親の顔が見てみたいわね」
「見付かったわよ、親御さん」
「そうなの」
「母親犬ね、やっぱり捨てられてたの」
そうだったというのだ。
「それでまた別の人に保護されたけれど見てみる？」
「何処にいるの？」
「これまた私の近所よ」
「じゃあ今日ね」
「ええ、あの娘連れてよね」
元旦、彼女をというのだ。
「来てみる？」
「じゃあね」
望は彩華の言葉に頷いて彼女の案内を受けて元旦を連れてその家に行ってみた、するとそこにはだった。
立派なコリーがいた、元旦はそのコリーを見ると近寄って甘えだした。
「クゥ〜〜〜ン」
「クンクン」
コリーも応えて受け入れる、望はそれを見てわかった。
「お母さんね」
「晦日も同じ反応だったわ」
「元旦達って母親似ね」
「ちなみに捨てた元飼い主もわかったわ」
「そうなの」
「二丁目の枝野よ」
「ああ、あの市会議員だった」
枝野と聞いてだ、望はすぐにこう言った。
「ヤクザ屋さんからお金貰って覚醒剤の売買させてたっていう」
「それがばれて逮捕されたわね」
「あいつが飼ってたの」
「どうも晦日達産んだので捨てたらしいわね」
「酷い奴ね」
「雑種産んだってことでね」
それでというのだ。
「そうみたいよ」
「最低ね」
「それでね、お母さんも保護されてね」
「今はこのお家で飼われてるのね」
「そうよ、親子が再会出来てよかったわね」
「本当にね、ただ元旦達って」
望は母親に甘えている彼女を見てこうも言った。
「父親似ね」
「どう見たってそうね」
彩華は望の今の言葉にくすりと笑って応えた、母親に顔を舐めてもらって嬉しそうな元旦を見ながら。
ブサカワ犬 完
２０２０・５・２６
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