第四章
[8]前話
人面犬がそこにいた、その犬はというと。
あたふたと逃げていった、その犬を見て言った。
「逃げているわね」
「もう生き返ってるの」
「そうみたいね、今度から神社のお守りとかお経持って行ってね」
「悪い妖怪除けに」
「そうしてね」
「それじゃあね、とにかく今回はね」
「ポチに助けてもらったわね」
「ええ」
その通りだとだ、美香は母に答えた。
「そうしてもらったわ」
「実はポチあんたのこといつも気にかけてね」
それでとだ、母は娘に話した。
「あんたが寝てる時あんたのお部屋の扉の前でいつも寝てるのよ」
「そうだったの」
「あんたを守ってね」
「それでお散歩もなの」
「ええ、多分あんたが無事かどうか確かめる為にね、あんたを見るまで」
それまでというのだ。
「お散歩続けてるのよ」
「そうだったの」
「あんたの下校時間に合わせて出たがって」
その散歩にというのだ。
「そうしているのよ」
「そうだったのね」
「ええ、多分人面犬が出るって察して」
「犬って妖怪とか幽霊が見えるっていうわね」
「感じられてね」
「それでだったみたいね、それであんたを助けたのよ」
今さっきそうした様にというのだ。
「人面犬から」
「そうだったのね、それなら言えばいいのに」
美香は母の話をここまで聞いてだった。
何時の間にか母の横に来ていてリードを持たれているポチを見た、そのうえで彼に対して眉を顰めさせて負った。
「全くあんたは」
「・・・・・・・・・」
ポチは答えない、それどころか。
プイ、と美香から顔を背ける、美香はそのポチに対して言った。
「わかったわよ、じゃあそういうことでね」
「やっぱりあんたはポチの妹なのよ」
「犬がもう一人のお兄さんね」
「嫌かしら」
「仕方ないわね、じゃあこれからも宜しくね」
「ワン」
ポチは顔を背けた、だが。
一言鳴いた。そうしてだった。
自分のリードを持っている母そして美香と共に家に帰った、美香とポチの関係はこの日からも変わらなかった。だがそれでもだった。
美香はポチに笑顔を向ける様になった、そして不愛想なその犬にご飯をあげたり散歩をしていった。そうして彼と家族であり続けた。
ツンデレ犬 完
2020・5・27
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ