第26節「安らぎ守る為に孤独選ぶより」
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った。
「だって……二人とも、せっかく遊びに来たのに、ずっとつまらなさそうにしてるから……。今もな〜んか暗い話、してたんでしょ?」
「あ、あああぁ……ごめん……」
不満そうな未来の顔に、響は慌てて謝った。
「二人とも、ありがとう。だが、心配は無用だ」
翔は未来と恭一郎を交互に見て、ニヤッと笑った。
「今日は久しぶりのデートなんだからな。わざわざ呼んでくれたんだ、ここからは楽しくいこうじゃないか」
「デートッ!? あ、いや、僕と小日向さんは付き合ってるわけじゃ……」
「さあさあ、デートの続きだよッ! せっかくのスカイタワー、4人で丸ごと楽しまなきゃッ!」
「ん……」
響は未来の手を引き、翔は恭一郎の背中を押しながら進む。
「未来〜、次はどの水槽見よっか〜?」
「う〜ん……クラゲかな」
「ほらほら、次行くぞ〜」
「だからって押す必要は……」
賑やかな四人。戦いとは無縁の平和で、穏やかな時間の中で歳相応に遊び、笑い合う四人。
そんな四人の後をこっそりつけている灰髪の青年がいることを、彼らは知らない。
勿論、サングラスに隠したその青年の表情が、焦燥に焦がれているということも……。
ff
同じ頃、スカイタワー58階のエレベーターからは、意外な人物達が降りてきていた。
「マム、あれはどういう?」
車椅子を押しながら、マリアはナスターシャ教授に先日の言葉の意味を問いかける。
「言葉通りです。私達のしてきたことは、所詮テロリストの真似事に過ぎません。真になすべき事は、月がもたらす被害をいかに抑えるか……。違いますか?」
「──つまり、今の私達では世界を救えないと……」
「ツェルトにはああ言われましたが、こうするより他ありません」
大きな窓から街を見渡せるイベントホール。
企業の式典、または祝いの席として貸し切れるその部屋へと入ると……そこには、黒服の男達が並んでいた。
「……マム、これは──ッ!?」
「米国政府のエージェントです。講和を持ちかけるため、私が招集しました」
「──講和を……結ぶつもりなの?」
「ドクター・ウェルには通達済みです。さあ、これからの大切な話をしましょう」
そう言ってナスターシャ教授は、車椅子をテーブルへと着ける。
(嫌な予感がする……。とても、嫌な予感が……)
マリアの胸に、言い知れぬ不安が渦を巻き始めていた。
ff
あれから暫く。水族館を巡った翔達は、最上階の展望デッキを堪能していた。
翔がトイレで手を洗い、三人の座る場所へと戻ろうとしていたその時、聞き覚えのある呼び名で自分を呼び止める声があった。
「また会ったな、ファルコンボーイ」
「ッ!? その声、お前は……」
「シッ…
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