第五話「LARGE一夏」
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い込んでいた自分のうぬぼれが誰かをこんな危険な目にあわせてしまったなんて――
涙ぐむ俺は、悔し紛れに治療どころじゃなくなっていた。
「傷の具合はどうだい?」
室内よりまた新たに誰かが入ってきた。滝である。
「滝さん……」
「ああ、朱鳥ちゃんについては残念だな……まぁ、大丈夫だ!」
「――すみません。俺がもっとしっかりしていたら! 変身していたら……」
「過ぎたことはもうどうしようもねぇよ。今は、これからのことを考えるんだ」
そういって、滝は両腕を組んで唸りだした。
「またお前と決着をつけるって言ってたよな。そんときに朱鳥ちゃんを助けりゃいいんだよ。今はそれに向けて体をゆっくり休めておけ」
そういって、悔やむ俺の肩を滝さんがポンと叩いた。
「はい――」
「しっかし、あの怪人はやはりネオショッカーの奴らか?」
これまでの戦いからして一番古臭いかつしつこい組織と言ったらショッカーしか思い浮かばないのが滝の知識である。
「いいや、ショッカーではない。確かにショッカーは今もなお健在だが、そのショッカーを陰で操っておる真の組織がおる」
「ショッカーを? って、もしかして……」
嫌そうな顔をする滝はしぶしぶとその正体を口にした。
「……バダン、だろ?」
「左様、バダンを撃退しないことにはこの世界に真の平和は訪れないじゃろうな」
「できる訳ないだろ? 最近じゃあライダーの名をかたった悪党どもがうじゃうじゃしてんだ。最もいい例が浅倉っていう国際指名手配されてる死刑確定な似非ライダー野郎だな。仲間を集めるよりも先に仮面ライダーの名をかたる糞ライダーどもを叩き潰す必要があるぜ」
滝は、これまで1号からZXまでの仮面ライダーと共に世界のために戦ってきたことから仮面ライダーをかけがえのない戦友として慕ってきた。そのことから、ライダーの力を手にしてもなお悪事を働く悪党どもに対しては腸が煮えくり返るほどの怒りを持っている。
「皮肉なもんじゃな――ショッカーから生まれた強化人間達をベースに後に数ある他の組織らが人間でも仮面ライダーの力を手に入れられるアーマーシステムを生み出してしまい、それを私利私欲のために使う人間達が増えてきた」
そして、敷島博士は次に俺の方へ振り返った。
「皮肉にもショッカーは強化人間の技術には力を入れている。当時とは違って力のコントロールには無意識に制御できておるじゃろ?」
「は、はい――なんとなくっていうか、不安でしたけど……わかります」
「強化人間の正体を扮して、一般人に紛れやすくするためにそのような調整が施されてあるというわけか」
滝も、そんなショッカーの技術力には恐れ入った。当時は1号ライダーの本郷や2号ライダーの一文字らの力の下限による苦悩を共に乗り越え
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