第五話「LARGE一夏」
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「……ありがとうございます。それと、頑張ってください」
神職の装束を着た巨漢の青年は深々と頭を下げた。
「おう!」
そういって、彼は立ち去った。
「あら、滝さん」
途中で朱鳥と出会ったとたん、滝は鼻の下を伸ばしだした。
「よう朱鳥ちゃん! きょうも可愛いねぇ〜」
「え、えへへ……あ、寄って行かれますか? お茶ぐらい――」
「いや、偶然酔っただけさ。道草食ってると一条のやつに叱られちまうからな!」
そう言って、彼は境内の石段を下りていった。
――朱鳥をまもる、か……
よし! 俺は意気込んで御奉仕に力を入れて今以上に集中して石畳を掃き清めた。
本気でやるものだから、箒が摩擦熱で消滅してしまったのは言うまでもない……
「やっべぇ〜後で買いに行ってくるか」
そういって、朽ち果てた箒を捨てに行こうとしていた時であった。
境内に朱鳥の悲鳴が響いた。
「ッ!?」
それに反応して、彼は急いで彼女がいた授与所の所へ行くと、授与所の外では、あのカラスの怪人が一体、片手を朱鳥の体に絡めさせて人質に捕らえていたのだ。
「お前は――!」
あのときのカラスロイドだ。それも、当初俺が千切った奴の片腕は鋭く巨大な刃物が手の甲爪のように生え出した義手に生まれ変わっていた。
「この前のリベンジをさせてもらうぞ?」
「よせ! 俺はもう――」
仮面ライダーにはならないって決めたんだ! だが、朱鳥がとらわれているんじゃどうしようも……
「ライダーにはなれないというのか? ふざけるな!! お前を八つ裂きにブチ殺すためにわざわざ新たなパーツを付け替えた俺はどうすればいい!?」
背の巨大な黒い翼を広げて、義手の刃の先は片手に捕らえられている朱鳥の首筋へ向けられたのだ。
「ライダーへ変身しろ。そして俺と戦え! 従わなければ、お前よりも先にこの子娘を八つ裂きにしてやるぞ!!」
「や、やめろ! その子は関係ないだろ!?」
「フン! この女が強化人間に変身などしなければこんなことにはならなかったのだ」
「九豪君……」
しかし、捕らえられている彼女の顔は助けてほしいと願う瞳ではなく、俺の案じた瞳で見つめていた。
「逃げてください――はやく滝さんに!」
「動くな? 動くとコイツがどうなるか……」
「くそっ――」
変身なんてすれば、あのときのトラウマが蘇ってくる。人を殺したことへのトラウマが、あのときの残像が蘇ってくるんだ――
しかし、だからといってこれ以上誰かを失うのは嫌なんだ! 俺は振るえる両手で変身のポーズを慎重に構えた。
「変……」
そして、禁じたはずである変身をこうも早く解いてしまうなんて……
そのとき、一発の銃声がカラスロイドの頭部に跳ね返った。
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