第五話「LARGE一夏」
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?」
「あ、いいんすか! あっ、でも……すんません、俺今一文無しなんですよ〜?」
小銭も持っていない。そういう顔だった。
「べ、別にそういうものはお気持ちだけで結構ですので……」
さすがの朱鳥も苦笑いになった。
「あ、じゃあ御言葉にあまえて」
そういうと、五代という男は拝殿前で鈴を鳴らし、手を元気よく叩いて熱心に拝んだ。
「どうか、次の旅でも怪我をしませんように……!」
「旅してるんですか?」
ついつい願い事を盗み聞きしてしまった俺は、参拝を終えた五代に問う。
「うん、いろんなところに行って多くの子供たちの『笑顔』を見て来たんだ。本当に素敵だよね、世界って」
「旅か……」
俺も、一度は朱鳥を連れて旅をしてみたいものだ……朱鳥とね。
と、妄想を振り払いながら俺は作業に集中した。
「ねぇ、九豪君。よかったら今度一緒にどこかへ行きませんか? 旅行で――」
穿き掃除をしていると後ろから、そう彼女が体をモジモジしながらそう言ってきた。
「え、え!?」
固まった俺に朱鳥は少しびっくりしたように続けた。
「親睦を深めるため――です」
「あ、ああ! その……別にいい、かな? いやいや! 別にって言い方はだめだ。いいよ、うん!!」
咄嗟に慌てふためく俺に朱鳥は「ふふッ」と笑んでから
「それじゃあ、行けるような時間が来たらお誘いしますね」
そういって、彼女はこちらに背を向けて玉砂利を駆けていった。
「デート……お泊りデートかぁ――」
ああ! もう!! そんなの反則じゃねぇか〜!!!
しかし、そんな彼の元へある気配が忍び寄ってきた。
「よおぅ? 朝から熱々だねぇ〜」
サングラスをかけた例のインターポールのおじさん、銭形――じゃなくて、滝和也さんが耳元で嫉妬の顔を向けてきた。
「うわっ!?」
「ったく、図体のでけぇくせに肝がちいせぇなぁ?」
「あの、何ですか?」
と、俺は不審者を見る目で滝さんを見た。
「ああ――そうだったな」
そういって、彼はコホンと咳払いした後に改めて話始めた。
「最近調子どうよ?」
「まぁ、俺……」
この人にも思い切ってライダーをやめようと告げだすが、
「ああいい、もう言うな。俺が決めるわけじゃない。お前が決めればいい」
「知ってたんですか?」
「ああ、静かに暮らすんだろ? けどな、もし――何かあったときには手伝ってもらいてぇんだ。ライダーに偏しなくてもな」
「はい……」
「まぁ、そんなことだから二人で幸せに暮らせ。俺の知ってるライダーたちとは違ってお前は孤独じゃねぇんだ。朱鳥ちゃんを守ってやれよ」
「はい――その、滝さん」
背を向けていこうとする滝は俺の声に再び振り返った。
「あぁ
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