第五話「LARGE一夏」
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キスであった。そして、その事務所から一部始終を見届けていたもう一人。ロッカーから身を縮ませながら窮屈そうに出てきた大男、日本支部の管理司令官グロリアスであった。
「あぁ〜肩こったわい……して、ジルキスよ? これが例の二号LARGEになるための青年であるか?」
「はい! こうもホイホイと引っかかるとは人間なんてチョロいもんですなぁ!!」
「同感だ! ワッハッハ〜!!」
数日後、熊牙神社にて
それからしばらくたったある日のこと。蓬町の一件から俺はもう仮面ライダーに変身しなくなった。
大半の生活には人であるときだけの能力のみで十分すぎる。
「今日もお疲れさまだね、九豪くん」
箒を片手に巫女装束を来た朱鳥が駆け寄ってきた。俺は、本殿の縁側をぞうきんで磨いていた。
「神職って、結構激務だね?」
俺はやや汗だくになった。と、いうよりも朝の早朝から起きてお祈りや掃除、それが終わったらようやく朝飯。
「やれやれ、こいつはそれ相応の給料をもらわねぇとな?」
と、冗談交じりに俺は笑った。それに、朱鳥はフフッと御しとやかに微笑んだ。
そんなとき、境内に今日の参拝者一号なる人間の足跡が聞こえた。この気配は常連のお婆ちゃんかと思ったが、それは異様に違っていた。
――だれだろ?
俺たちは耳をすませた。
この気配、とてもじゃないが純粋でケガレのない清い感覚。神とまでは劣らないが、それに近いような存在でもあった。明らかに普通の人よりもかけ離れた人格的気配であった。
「あれぇ? こんなところに立派な神社があったんだね?」
それは、一人の青年であった。笑顔でこの境内に立ち寄って、真っ先に俺たちを目に、手を振ってきた。
「あ、どうも……」
朱鳥はお辞儀して、俺も一様軽く会釈はしておいた。
「どうもどうも! 立派な神社ですねー?」
「あ、はい」
「え、神職の人たちってお二人だけ?」
「まぁ、そんなとこですね?」
と、俺は苦笑い。
「あーそうなんだ! そいりゃあ大変だねぇ? まぁ、頑張った後のご飯は美味しいしね?」
――誰だ? この人……
怪しいというよりかは、気配からして全く悪意なんて持っていない。とても人懐っこいオーラを発している。そして、この境内に害のない清らかな風格だ。
「あ、申し遅れました。俺、こういうモンです!」
そう青年は俺たちに懐から名刺を取り出すと、丁寧に手渡した。
「……夢を追う二千の技を持つ男、五代雄介?」
俺はそう青年を見上げた。
「はい、そういうもんです! よろしく!!」
と、元気に爽やかな笑顔で青年は俺たちにサムズアップを向けた。
「は、はい……」
と、またもや俺は苦笑い。
「もし、よろしければ参拝されて行かれますか
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