第五話「LARGE一夏」
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君が……織斑一夏君かな?」
と、彼は腹の出た熊のような大柄青年を目に訊ねた。
「はい、自分が……織斑です」
「そうなの! いやぁ〜若い子が来てくれて本当に助かるよ? ああ、長く続けれるようなら。正社員にもしてあげれるから頑張ってね?」
「え、本当ですか?」
「うんうん! こう見えて、ウチは男性差別なんて御法度で仕事しているから。安心して働いてくれればいいよ?」
真っ先に飛んできたこの言葉に一夏はすっかりと心を許してしまった。
「じゃあ……とりあえず今から一緒に事務所まで来てもらおうか? お仕事の説明をしたいしね? 本当は事務所まで来てもらう予定だったけど、職場が少し複雑な場所にあってね? じゃあ、行こうか!」
「はい! お願いします」
一夏の、その巨体が深々とお辞儀をした。
それから、一夏は社用のワゴン車に乗ってここからそう遠くない場所。しかし、やや薄暗い道を行ってはその奥に佇む事務所らしき場所へたどり着いた。
「ささ! 入って?」
「は、はい……」
ビルとビルの間の裏側にある日の当たらない場所にそれはあった。
事務所には「清掃会社ショッカー」というシャレた名前の小汚い看板が掛けられていた。はて、ショッカー? どこがで聞いた覚えが……
「ほらほら、お菓子とお茶もあるんだし。お茶しながらゆっくりと仕事の説明をしてあげるよ〜」
「ど、どうも……」
もてなしも良すぎて、逆に怪しすぎやしないかと思うも、一夏はそれでもここまで来たなら引き返したくないという思いから、疑う心も抑えて事務所に入った。
「えっと……ウチはこういう仕事を主にね?」
と、片手に緑茶と煎餅を齧りながら一夏は男の説明を熱心に聞いた。しかし、お茶を飲んだ後から己の体に妙な異変を感じた。
次第に瞼が重くなり始めたではないか? 次第に聞く力も失っていき、激しい睡魔によって体がドッと重くなってきた。
「あ、あれぇ……?」
「それでね? 実はさ? 人間の体を……」
何か言っている。しかし、もうこれ以上の言葉は頭に入ってこれなくなった。
「う、うぅ……」
そして、彼の足元に湯飲みが零れ落ちて割れてしまうと、そのまま勢いよく机の上に伏せるようにして一夏は倒れてしまった。
「……くっくっく!」
男は、ようやくここいらで本性を現す。男は立ち上がると深い眠りについた一夏を見下ろしてこう言う。
「おめでとう。君は栄えあるショッカーに選ばれた。我ら親愛なるショッカーは君を心より歓迎するよぉ? ハッハッハァーッ!!」
男は眼鏡を外して言い捨てると、素顔を見せんかのように両腕を広げて天井に向かって高く笑いあげた。
男は、自分の顔をはぎ取ると、そこからは別の老人の素顔が現れた。ショッカー日本支部のドクター・ジル
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