第五話「LARGE一夏」
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「……帰ったぞ? 一夏」
いつものように帰宅する姉を、台所から振り返って「お帰り、姉貴」と言う熊のように大柄で太った青年が振り返った。
「……また、太ったのか?」
「そう思うか?」
呆れた目で、いや……弟であれども蔑むような視線で姉の千冬は熊体系の弟をデブというような視線で見下ろした。しかし、一夏はもう慣れっこだという感じで何も感じることなく、テーブルの上に出来たばかりの料理を並べた。
「全く、お前は少しやせようとする努力をしようとしないのか?」
「うん……」
食事中でも、千冬の問いに対して一夏は「うん」、「ああ」の二言だけしか返してこないのだ。
「……」
今一度、姉は美味そうに夕飯を食っている弟を見た。体系は何度も言うように熊のように太った巨漢、顎髭が濃くて毛深そうな見た目が第一印象である。
――どうして、こんな姿になったんだろうな?
しかし、千冬は今宵決心したかのように彼にこう尋ねた。
「なぁ……一夏?」
「あぁ?」
「……お前は、何でこんな体系になった? 小学生の頃はもっとスリムだったはずだぞ?」
「ああ、そうか? まぁ、いろいろとね……」
「ッ……!」
しかし、詳細を答えようとしない一夏に千冬は次第にいら立ちし始めた。
「一夏、私は痩せていたあの時のお前が好きだったな?」
「あっそう」
「一夏! 私は、遠回しにお前へ痩せろと言っているんだぞ!?」
ドン! と、机をたたいて千冬は立ち上がったが、それに少し目を丸くした一夏は時期に何時もの落ち着いた表情に戻ると、こう言い返す。
「姉貴の将来に関係するってことになると、今の俺は邪魔だってことだな?」
「なっ……」
「いいさ? 俺、バイトで金貯めてっから。あと少しで目標額達成できるし、一人暮らしするよ。それで、いいだろ?」
「別にそこまでしろとは言っていないだろ!? 要は、痩せればいいんだ!!」
「痩せたって、意味ないよ? どのみち、俺は『織斑千冬の弟』なんだからさ?」
「だからどうした? お前は私の弟だぞ? 当たり前なこと……」
「それで、周囲からの視線がどれだけ辛いかわかってるのか?」
「なに……?」
「アンタは、いつも優等生だよな? けど、俺が何かドジると『千冬の弟のくせに』っていうレッテルが何処までも付きまとって来やがる。仮にドジらなくたって『千冬の弟だから当然』ってのが来るから、意味がない。だから、精神的に病んでたらこうなった。こうなったら、もう体系変えて別人になろうと思ってる」
「ば、バカなことを言うな! そんなこと、私が……」
「ごめん。もう決めたことだから、それにもう不動産屋に行って住む予定の場所も決めてある。だから、あと数日ぐらいしたら出てくよ? 引っ越しの荷物も
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