第25節「混沌のラメンタービレ」
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、確か、ツェルトが持ってきてくれた材料があるから……」
話題を逸らし、その間にホッと溜息を吐く。
調に、心配をかけるわけにはいかないのデス……。
調を守るって決めたアタシが、調を悲しませるような事なんて、言えるわけが……。
うう……背筋が凍り付きそうデス……。
でも……この事は、絶対絶対、バレないようにしなきゃ……!
響達だけでなく、F.I.S.の少女達の胸の迷いも今、混沌を極めようとしていた。
ff
「これは、翔と響くんの体のスキャン画像だ」
叔父さんは、医務室のベッドで体を起こした俺達二人にも見えるように、レントゲン結果をモニターに映した。
響の心臓や、付近の血管からは黄色の結晶が生えており、俺の心臓にも、灰色の刃のような結晶ができてしまっている。
一目でも分かる進行具合に、その場の誰もが目を伏せた。
「体内にある生弓矢とガングニールが、更なる侵食と増殖を果たした結果、新たな臓器を形成している。これが二人の爆発力の源であり……命を蝕んでいる原因だ」
「──くッ……」
「……あは……、あははは……」
響の笑い声に、全員が振り返る。
暗い雰囲気を誤魔化そうとして、作り笑いをしているのは誰の目にも明らかだろう。
「つまり、胸のガングニールを活性化させるたびに融合してしまうから、今後はなるべくギアを纏わないようにと──」
「いいかげんにしろッ!」
誤魔化し笑いを続ける響の腕を掴んだのは、姉さんだった。
その眼差しは、今にも泣きそうなくらい揺れている。
「なるべくだと? 寝言を口にするなッ! 今後一切の戦闘行為を禁止すると言っているのだッ!」
「翼さん……」
「このままでは死ぬんだぞッ! 立花ッ!」
「──ッ」
姉さんの目には、既に涙が溜まっていた。
今にも溢れ出しそうなそれは、姉さんが厳しい言葉の裏に隠した感情を伝えてくる。
「お前もだ、翔ッ! 立花も……お前まで死んでしまったら……私は……わたしは……くッ……!」
「姉さん……ッ!」
「あっ、オイッ!」
姉さんは雪音の制止も聞かず、医務室を飛び出して行ってしまった。
……確かに、俺が死んじゃったら、姉さんは独りぼっちになってしまう。
父さんからの愛情を感じられずに育った姉さん。
そんな姉さんの支えになっているのは、間違いなく弟である俺だ。
その俺と、そして将来の義妹として可愛がっている後輩であり、奏さんが救った命でもある響を同時に喪えば、姉さんは今度こそポッキリと折れてしまうだろう。
「この中で一番辛いのは、間違いなく翼さんだ……。無理もない……」
純の呟きに、響も、雪音も黙り込む。
空気が沈みかけているのを見かね、口を開いたのは叔父さんだった
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